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第七章・11

 そして、先ほどのバレーボールのように、それをぽーんと投げた。  弧を描き、チョークは惠の頭にコツンと当たった。 「……はッ!?」  慌てて首を跳ね上げた惠に、クラスは笑いに包まれた。  後ろの席で瑛一を見守っていた南先生が、再び慌てる。 「藤堂先生! それはちょっと……!」  あ、と瑛一は思い当たった。 「すみません。今のは、体罰ですか?」  その言葉に、教室はさらに沸く。  恥ずかしさも忘れ、惠も一緒に笑っていた。

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