121 / 163
第七章・13
「創立は、藤堂家だそうだ」
「そうなの!? 凄いなぁ」
だから僕でも途中入学できたのか、と惠は頷いた。
創立した人間の関係者なら、多少の無理も通るというわけだ。
「それは、俺も同じだ。俺が放り込まれた大学も、この上の学校だからな」
お前も、いずれ進む大学だ、と瑛一は微笑んだ。
「僕、兄さんの後輩になるんだね」
「そういう事だ」
何だか嬉しいな、と惠はどきどきしていた。
母さんが亡くなってから、何だか希薄になってしまっていた兄弟のつながり。
藤堂家に引き取られて、瑛一も屋敷に落ち着くかと思っていたがそれもかなわず、心を傷める毎日を過ごしていた。
それが今や、大学の先輩後輩になるかもしれない位、近くに感じられるのだ。
「僕、頑張って勉強して兄さんの大学へ進むよ」
「その意気だ」
和やかな雰囲気の中、惠と瑛一は茶室へ入った。
ともだちにシェアしよう!