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第七章・22

 じゃあ、頼むか、などと無表情無感情を装っている瑛一だが、わずかに口角が上がっている。  それを見逃すような惠ではなかった。 (兄さん、喜んでくれてる!)  惠の心は、幸せでいっぱいになった。  明日から、ちょっぴり早起きしよう!  そして、ちょっぴり豪勢なお弁当作ろう!  にこにこと弁当を食べる二人の兄弟は、木漏れ日に撫でられ幸福だった。  堅苦しい藤堂家の存在をちょっぴり忘れて、二人の世界に浸っていた。

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