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第八章・14
「もう一つだけ、食べようかな。食べさせてくれるか?」
「え?」
瑛一は、惠の口にチョコを一つ咥えさせた。
そして、口移しでそれを溶かし始めた。
「ん……」
兄さん。
兄さんの、バカ。
他の人とお付き合いしてるのに、手作りケーキもらったのに、僕とこうして平気でキスするなんて!
「あ、んン……。ンむ、うぅ……」
でも、甘い。
兄さんのキスは、こんなにも甘い。
苦いチョコを食べてるはずなのに、溶けるように甘い。
「好きだ、惠」
「兄さんの、バカ……」
そのまま二人は、ソファに横たわった。
惠のシャツをはだけ、せわしなく胸を弄る瑛一。
まるで余裕なく、その小さな乳首をまるで赤ん坊のように夢中で吸った。
「んぁ、あ! 兄さ、ん。あ、はぁッ!」
何だ、俺は。
いいとこのお嬢さんと、お付き合いしてるんじゃなかったのか?
兄弟だからと惠は諦め、資産家の娘と結婚するんじゃなかったのか?
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