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第九章・4

 お久しぶりです、と茉莉は惠に挨拶した。 「以前、藤堂さまの晩餐会でお会いしました」 「あ、瑛一さんに料理を持って行った時に……」  瑛一の空腹を案じた、惠と茉莉。  皿に料理を盛って、彼の元へと現れた時に鉢合わせしたのだ。 「あの時は、本当に失礼いたしました。弟さんがいらっしゃるのに、出過ぎた真似を」 「いえ! 瑛一さんは結局、二皿平らげましたから!」  顔がタヌキでも、どんな意地悪を言われるかもしれない、と構えていた惠の心は、たちまちほぐれた。  そんなリラックスした表情の惠を見て安心した瑛一は、茉莉に声をかけた。 「今日はどうしますか? 茉莉さんに合わせますよ」 「では、わたくし遊園地へ行きたいのですが」 「賛成!」  元気な惠の声に、瑛一も茉理も顔をほころばせた。 「惠さんも賛成してくださいましたし、よろしいですか? 瑛一さん」 「はあ……」  瑛一にとって遊園地は、お子様向けのデートコースなのだが、三人の内二人が行きたがっているなら仕方がない。  瑛一の運転する車で、大きなテーマパークへと向かった。

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