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バーにて
肩を回しながら大きく息を吐く
やっと終わった……
今日中に終わらせたい仕事にプラスしてせっかくだからと先に先にと仕事をこなしていった結果、定時からすでに二時間以上過ぎている
「あー、疲れた……
せっかくの花金なのにもったいない
でも、仕事進んだしいいか」
一人ぶつくさ言いながら帰る準備をし、警備員さんに挨拶をして会社を出る
んー……
今日は車じゃないし居酒屋、いやバーに行ってから帰ろうか
何飲もうかな……
のんびりとそんなことを考えながら行きつけのバーへと足を運ぶ
カランコロン
「…………いらっしゃい」
物静かな雰囲気の店内に口数が少ないマスター
ゆったりと時間が流れていそうなこの場所が好きだ
客も一人、二人で飲んでいるからても静かでいい
カウンター席に座ろうとした時、見知った顔を見かけ
「お隣、いいですか?」
「え?……!武岡かちょっ、あ、……武岡さん
お疲れ様です」
「お疲れ様
隣座ってもいいかい?」
「はい、大丈夫です」
たまたま居た辻村くんの隣の席に腰掛ける
「マスター、つまみといつものお願いします
……意外だな
辻村くんお酒飲むんだ
会社の飲み会の時に飲んでるイメージなかったけど」
「そう、ですね
……あまり大勢と飲むのは好きではないので
一人で、自分のペースでゆっくり飲むのが好きなので」
「なら、僕はお邪魔だったかな」
「!いえ、そんなことは……!あっ」
辻村くんがグラスを倒す……
直前で受け止める
「おっと、危なかった」
「だ、大丈夫ですか!?濡れたり……」
「くはは、大丈夫だよ
あんまり入ってなかったし零 れてもないし
あ、すみませんマスター、ありがとうございます」
「……昨日からご迷惑おかけし続けてすみません」
「昨日も今のも不可抗力ってやつだ
気にしてなんかないよ
……んん、じゃあ飲みに付き合ってくれないかい?
僕、結構飲むから最後まで付き合ってくれると嬉しいな
……いや、マスター大丈夫ですよ
潰したりしませんから」
「そんなことでよろしければ
一応そこそこ飲めるので」
「くはは、それは楽しみだな
一緒に飲んで最後まで起きてる子はいなかったからなぁ」
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