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九蔵は両腕を足の間に伸ばし、薄い腹筋を使って起き上がろうと足掻く。
「どうしてだい? 私だって裸である。おそろいだ。恥ずかしがることはないよ」
「ふ、普通にして、普通でいい」
隠すものがなにもない。
美しくもない男の濡れそぼった下腹部から股座のはしたない有様が、晒されている。
出したばかりで白の混じった蜜をまといヌラヌラと光る陰茎も、深く拡張されて捲れた媚肉を覗かせる秘部も、唾液とローションと淫液で蒸れた陰部も、全て丸見え。
それなのにどうして? と尋ねるニューイは酷すぎる。
「なんか、やらしいし……こんな俺って、おかしいだろ……? だから、み、見ねぇで、ニューイ……」
カッ、と汗ばんだ肢体に鮮やかな朱が走り、九蔵は自分の顔を両手で覆った。
卑猥だ。他人事のように見ていた性欲処理のオカズたちと違う。
今から抱かれようとする自分の体は、リアリティがあり過ぎて、脳をダイレクトに痺れさせる。
「フフ、かわいいな……安心しておくれ。私の目に映る九蔵は凄く魅力的だ」
「ひ、広げんなっ……」
「足を広げないと挿れられないよ」
それでも恥ずかしがる九蔵の姿が好きらしいニューイは、淫らな箇所が全て見えるよう九蔵の両足を大きく開脚させた。
ニューイにとっては九蔵の身動ぎなんて、子猫の甘噛み程度の抵抗だ。
むしろ嬉しそうに頬を緩ませる。
大股広げて煽られる自分という状況だけで、お腹いっぱい恥ずかしい。
「っも、無理……早く挿れろって、ニューイぃ……っ」
「ははっ。ごめんよ。少しからかいすぎた。九蔵があんまりかわいくてね」
どうにも限界で懇願すると、ニューイは申し訳なさそうに微笑んですぐに謝った。
引き際を見極める。
そうされると怒れない。
純粋無垢な子犬に見えて、やはりニューイは悪魔らしい余裕があるのだ。悔しい。
そう言うと、ニューイは「余裕なんてないぞ?」と眉を下げた。
「本当は、私はこうやって擦って焦らして、九蔵が切なく私を求める姿を一晩中でも見ていたい」
「ぁ……っんん……」
言いながらゴムごしの怒張で剥き出しのア✕ルをぬる……っと擦られ、背筋がゾクゾクと粟立つ。
ヌチャ、ヌチャ、と粘度の高いローションが泡立つほど、何度も敏感な部分をなぞられ、我慢ができなくなってきた。もちろん恥ずかしいからじゃない。
「キミの初めてだから、簡単に突いて破るのは、惜しいのだよ。夜は長いからね」
「ン……ン……」
「でも、九蔵にオネダリされると私は弱いのだ。さっさと終わるのは嫌だけれど、今夜は小細工なしで交わろう」
「ンッ……」
「挿れて、出して、イチャイチャ。九蔵の欲しがる行為をするよ」
ニューイは二ヘラ〜と笑った。
そんな言い方をしたら、まるで九蔵が遊び心のない本能的な交尾に興奮する男のようである。くだらないじゃれあいが好きらしい。
九蔵は胸の内で拗ねてみせるが、ポーズだけの虚勢だ。
九蔵を高ぶらせるためにわざと言葉にしたニューイの作戦は、大成功だった。こちらまんまと大興奮である。
「……お好きに抱いてください……」
「? そのつもりである」
両手で顔を隠したままもう好きにしてくれ! とばかりに頼むと、ニューイは不思議そうに首を傾げたがニヘッと笑った。
九蔵がカワイイのでよしとしたようだ。たいていのニューイの不思議は九蔵カワイイで解決する。バカみたいなことを本気で言いおってからに。
「少しお腹に力を入れて、拡げておくれ」
「ん」
熱い肉塊の先をチュク、と入口に宛てがわれるのを感じると、九蔵の心臓は激しくバウンドした。
コクリと頷き、指を受け入れる要領で敏感な奥を開く。
するとすぐ、期待にヒクン、ヒクン、とやましく口を緩ませる秘部へ、丸く張った先端がグプッ……と潜り込んだ。
「……ッふ……」
短く息を吐く。
ヌグヌグと襞を引きずって侵入していくモノは、異物感が強い。
一物ですら美しい出来栄えだと目視していたが、中で咥え込むとなるとこんなにも大きく感じるのか、と思った。
まぁ、その、なんだ。
悪くはない。……嘘。ちょっとイイ。
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