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「あっ、魂、嫌だ、っん……ふっ……」
「言っておくが、九蔵が恥ずかしいことが好きな根拠があるのだよ」
「こんなに嫌だって言ってるのに、んっ……そんなわけないでしょうが、ふっ……あ、っ……」
「むぅ。じゃあ説明しよう」
「説明って、っん……」
九蔵はニューイに言われるがまま、どうにか自分の姿を見つめた。
窓に映るニューイはフフフと甘く誑かすような笑みを浮かべて九蔵を犯しながら、耳元で囁く。
「九蔵は今、スウィートルームのベッドでロマンチックな夜景を前に、それを楽しむことなくわざわざ女の子の制服を着ているのだ」
「はっ……」
「そしてその自分の姿を見ながら、キミはしっかり、勃っている」
「っ……!」
「恥ずかしいことが好きじゃなければ、こうはならないだろう?」
(そんな、言い方……っ)
低く甘露のように耳朶へ絡む囁きを理解して、九蔵はカァァ……っ、と体温を上げて言葉を失った。
プリーツスカートを押し上げる屹立がトロリと蜜を零しショーツを湿らせているのが、自分でよくわかっていたからだ。
「これ、はっ……これは違うくて……っ」
「ん? 違うくなくていいのだよ、九蔵。私は恥ずかしい九蔵も愛している」
「愛、っ……や……っ」
「うむ。気持ちがいいことはいいことだ。前も後ろも絡みついて濡れそぼって……キミの身体はとてもわかりやすい。カワイイのだ。ふふ」
「っ俺、濡れてない……感じてない……っふ、そんなことね、からぁ……っんっ」
「信じられないなら、スカートを捲ってみようか?」
「む、無理……っあっ……見ねぇで……っはっ……ん、ぁっ……」
嫌になるほど恥ずかしい。
いつものことながら、なぜニューイはいちいち無自覚に言葉責めをするのやら。
それも男性向けの淫語系ではなく、女性向けのロマンス系だ。
「ひぐっ……ニュ、イ……っふ、っ……っ」
九蔵を辱めようという気なんてなくただ思った通りに説明してかわいがっているだけだとわかっていても、九蔵はニューイの言葉にイヤイヤと頭を振って悶えた。
なんでそんなこと言うんだ! と頬のひとつも抓ってやりたいが、感じているのは確かで抵抗できない。
ズ、ズ、とローテンポで繰り返される突き上げと、魂をまさぐられる快感。
「も、イク……イク……っ」
「ふふ。好きなだけイクといい」
「はぁっ……イ、ぁ……──っ」
トロけてしまいそうな体が痺れを帯びて淫蕩するうち、高まった官能が限界を迎えてドクッ、と溢れた。
なんということだ。
スウィートルームのベッドで夜景を前にわざわざセーラー服を着て抱かれる自分を見ながら、イってしまった。
それも、かなり、気持ちよく。
「っお……っあ、ぃ……っ……」
目の前が真っ白になると共に迸った白濁液はショーツにぶつかり、先端とレースの隙間からダラダラと滴り落ちていく。
その瞬間の顔もばっちり直視だ。
こうなるともう拷問に近い。九蔵はうう、と涙目で唸る。
──もちろんそれで終わるわけもなく。
その後も絶えず揺さぶられ、九蔵は自分の姿を見せられ続けられた。
どちらかが達したところで、一度かわいがり始めるとかなりしつこいニューイさんには無問題だ。
角度や体位を変えつつも、一貫して窓の向こうの夜景に行為を見せつける。
「恥ずかしがることなんかないぞ。すごく似合っているし、世界一愛らしい女学生より九蔵のほうがカワイイのだ」
ニューイは九蔵を丁寧に抱きながら鏡の中の九蔵の目を見つめ、そうとめどなくべったり褒めた。
そんなことを言われたって、似合わない女装が恥ずかしくなくなるわけない。
似合ってないし、かわいくもない。
しかし九蔵が必死に顔を逸らしても、呪いによってまた前を向かされた。
一番カワイイ、キミは最高だ。
もっと見せて、もっと感じて。
ニューイは炙るように褒め称える。
ニューイにそう言われると、自分じゃ納得いかなくたって、嬉しいに決まっている。
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