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ズッ、ズッ、と左右に割り開かれた足の付け根の奥で孕んだ他人の肉が、我が物顔で出入りを繰り返す。
不快に思っていいはずだが、ニューイのモノなら愛おしい。
「あっ……そこ、いい……っん、っ……」
九蔵の肉棒はすっかり硬く勃ちあがり、トロトロと先走りを滴らせていた。
気持ちよければ言葉にして共有する。
ニューイの教えを恥ずかしながらも疑問なく受け止めている九蔵は、気持ちいい、もっと、といつも切なく求める。
そういうルールだと思っていた。
まんまと仕込まれているわけだが、九蔵はニューイ以外に抱かれる予定がないので、きっと一生気づかない。
「ん、あっ……っん、もっと強く……」
「いいとも。こうかい?」
「あぁ……っふ……そこ、んっ……」
「へへ、私は九蔵にたくさん感じてほしい。かわいいキミをもっと気持ちよくしよう」
「は、っあ……?」
ニューイはふふと喉を鳴らして微笑み、取り外した左手を巧みに操り九蔵の肌を這わせ、九蔵の陰茎にたどり着かせた。
なにをするのだろう。
九蔵は熱っぽい視線であとを追う。
すると左手は二本の指を傘裏に引っ掛け、敏感な亀頭を握るように包み込み──そのまま手のひらでチュクチュクチュクチュクと機械的に擦り始めた。
「ン゛ッ……!?」
途端、暴力的な快感に襲われ、九蔵の体がビクンッ! と仰け反る。
それもそうだろう。男の弱点の一番感じるところと言っても過言ではない熟れた先端、尿道口を筋張った男の手が淡々と同じ圧をかけて撫で回しているのだ。
泣きたいくらい、感じる。
「やっ待、ひあッ……! あぁッ……!」
「どうだい? 気持ちいいだろう? 手の三本や四本同時に動かすくらいわけないからね。九蔵の感じるところを一つずつ愛する時間がないなら、全て一度に可愛がればいいのだ! 我ながら名案である」
「と、取れね、ッあ、ぃうッ、うッ」
「ふっふっふ。ただそれはオマケだから、私の本体に集中してほしいのだよ」
「ぅッ、ゔぅ〜〜……ッ!」
迷案だと気づかないニューイは悪気の欠片もなく、かわいいなぁ〜とばかりにニコニコと笑って律動を再開し、ゴツッゴツッと前立腺を抉った。
咄嗟に唇を噛んで悲鳴を閉じ込めた九蔵だが、丸めた腰と浮き上がった背筋が悶えて体幹が波打つ。
「うぁッ……! あッ……! あッ……!」
──気持ちよすぎる。
九蔵は一秒ごとに、精液が尿道をドクドクと上り詰めていく流動を感じた。
まな板の上の鯉のように跳ねる。
骨の浮いた大きくも薄い男の体が、シーツの上で淫らにのたうつ。
九蔵は全力疾走した犬のように荒れた呼吸とともにあぁ、うぅ、と呻き咽び鳴いた。
逃れられない肉悦の荒波に呑まれ、すぐにでもイキそうだ。死んでしまう。
一番敏感な粘膜を、溢れ出す蜜を塗りつけるようにひたすら摩擦し続ける左手。
タコの吸盤でもあるのかと思うほどねっとりとくっつき生き物のように動き勃起した乳首を詰る右手。
尻にねじ込まれた逞しい怒張は絶頂を目前にビクッビクッと収斂する直腸を隅々まで丁寧に扱きあげ、みっちりと絡みつく襞を抉るように掘削する。
限界の奥まで貫かれ、抜ける寸前まで引きずられ、また根元までねじ込まれ、波は簡単に脳を焼き切ってしまう。
「ン゛ッ……ンン〜〜……ッ!」
頭の下にあるクッションにしがみつき、九蔵は泣きそうな声で悲鳴をあげ──ビクンッ、と背をしならせた。
(っ嫌、だ……っ)
「ん、っ……う……っあ、く……っ」
目の奥がチカチカと瞬く。
汗ばんだ肢体がくねり、つま先が淫らに丸まると、口の端を唾液が伝う。
ギュ、ギュウ、と強くニューイを絞る尻穴は、痙攣を繰り返す。
切れた脳が沸騰し冷めていく感覚。
「ニューイ……も、イク……っイクから……ダメだって……あっ……ひっ……」
九蔵はユルユルと首を横に振って、眉を垂らした。息も絶え絶えに訴える。しかし怪力悪魔に足腰を固定されると逃げられない。
甘い笑顔を見せて、ペロリと舌なめずりをするニューイ。
「平気さ。もうイっているだろう?」
美味しかったよ、と。
蜂蜜じみた声に囁かれ、小刻みに痙攣する九蔵は、蚊の鳴くような声量で「知ってる」と肯定した。
知らんぷりを、したかったのだ。
「っん……っ」
屹立の先端から左手が離れた。
手のひらと陰部の間で、ぐちょ、と白濁の粘液が糸を引く。
解ける内部をズプ、ズプ、とゆるやかに抽挿し続ける肉棒に炙られ、九蔵の体は絶頂の余韻をずいぶん引きずって、なだらかに肉欲の波を引かせていく。
珍しく、全部食べられた。
いつもは性欲を半分残しておかわりをするくせに、と不思議に思う。
おかげで賢者タイムとやらになり冷静を取り戻しつつある九蔵だが、どうせニューイは一度じゃ終わらないだろう。そう高を括る。
「ん、っ……っは……」
「ご馳走様。では、終わりとしよう」
「っえ、……え?」
しかし予想外に終了宣言をされた九蔵は、余韻に乱れる呼吸を落ち着かせながらポカンとニューイを見つめた。
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