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「ほ、本気かい九蔵……!」 「本気です。あー……嫌か?」 「いや是非コトダマを使いたいくらいなのだが、まさか九蔵がこんなことを……っ」  慌てるニューイを尻目にジジーとジッパーを下げると、すでに膨らみを帯び始めているモノがある。  大丈夫。問題はない。  自分は今骨皮ヒョロ男シャイボーイではなく、ドエロい娼婦なのだ。  脳にいいきかせて躊躇なく下着のゴムを指先で下げれば、色、形ともに美しいイカした一物が顕になった。  ゴクンと生唾を飲む。ちなみに気絶しそうなくらい緊張している。──が。  同じくズーズィに貰った自信ネイルをひっそり塗っていたので、九蔵の手だけはいつもより大胆に動けた。  そう。実はニューイへのハグも、男の弱点をスリスリとできたのも、全てはこのネイルのおかげ。  脳内で小さな九蔵が、ザッパァンと波の打ちよせる崖の上で〝ありがとう仮契約悪魔フレンド!〟と叫んだ。  でなければ九蔵の指先はバイブレーションしっぱなしで見れたものじゃない。  閑話休題。  ご清聴に感謝である。 「ん、ふ」 「うっ、しかも直接……!」  そんなこんなで密かにドーピングしていた九蔵は、取り出したニューイの一物を握り、まずパクッと先端を咥えた。  ニューイがプルプルと震える。  せめてゴムを着けてくれ、と言いたいのだろうが、それは素で忘れていた。  うん。まぁ、平気。  ニューイの味は好き、と言うか……自分はたぶん、ニューイを感じさせられる口での奉仕がかなり好きだと思う。 「……ふっ……」  先端をもぐもぐと舌で包み込み舐りつつ、左手で根元を支える。伝う唾液を使い、右手で幹をヌルヌルと扱いた。  これで合っているのか? と不安に思っていても手は動く。  舌と唇がなにかに誘われるように絞り、呑み込み、巧みに肉棒を育てていった。ルージュとネイルの力は凄い。 「はぁ……これで愛情表現が下手くそだと謝るキミは、私を溺死させるつもりかな」 「ふ……んなつもりねぇけど……」  喋るために唇を離すと糸が引いたので、レロ、と行儀悪く舐めとる。  舌で反り返りをなぞりながら、ニューイを上目遣いに伺い返事を待った。 「九蔵、それは凶器だ」 「ぅひ」  そう言われましても。  ニューイはワシワシと髪を括ってスッキリした九蔵の生え際を揉みつつ指摘するが、無意識なので仕方がない。  これもおそらくルージュのせいだ。  汗と淫液の香りにジュク、と九蔵の下腹部が疼くのは、ニューイのせい。 「ただ、俺もさ……関係継続のための刺激を与える、努力をすべきだなって」  鈴口にキスをしながら、ねっとりとゆるやかに高める手つきで屹立を擦る。 「刺激かい? 魂と羞恥、コスプレ、両手分解と、同時責めなど、十分夜の選択肢は広いと思うのだが」 「全部ニューイの準備と提案だろ? 俺は俺から、広げたいんです」 「私の九蔵がかっこかわいい……!」  まったく、ニューイは盲目だ。  ダメ人間のクソ男をそうしたのは、ニューイじゃないか。  感動するニューイのモノから手を離し、九蔵はニューイの腰に両手を回して抱きしめるような体勢を取った。  膝立ちになるニューイ。  九蔵は背を丸めてへたりこみ、なるべく頭を下げて高さを合わせる。 「はっ……ぁ……」  舌を伸ばし、裏筋を這わせた。  窄めた唇で丸く濡れた先端をなぞり、グププ、と喉の奥を拡げて根元まで咥える。  金色の淡い茂みが鼻に当たってくすぐったい。歯に当たらないよう気をつけると、思っていたより顎が疲れた。  それでもキュ、とニューイの腰を抱いて、吸い込みながら頭を動かす。 「う……悪魔道具のおかげか、勉強熱心なキミの成果か、上手だね」  会話はしなかった。  九蔵はふっ、ふっ、と鼻息が漏れるくらいで話せないから仕方がない。 「気持ちいいよ、九蔵」 「っ……ん……」  けれど声は優しく甘く、ニューイの手は九蔵の髪をなでてくれている。  きっとじっくりと見られている。  ニューイは観察し、視線で炙る。  時折漏らす悦さそうな吐息や口の中で膨れていく怒張が嬉しくて、やめようなんて思えなかった。もっと感じてほしい。  丁寧に丁寧に。  シワの一つ一つまでさすろう。  溢れる先走りと唾液をグチャグチャに混ぜ合わせ、奥まで挿れると同時に喉を逸らし、ゴクン、と嚥下する。

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