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「いやもう読めねぇ……わかりやすすぎる悪魔やイチゴともわかりにく過ぎて逆に読めるココさんとも違うス……たぶん素直すぎるのに表してる感情が俺の物差しと違うから読めねス……」 「ククク」 「つかこの体勢特に意味ねぇならそろそろどいてほしいんスけど。いろいろマズイ」 「いろいろ? ……あぁ」  機嫌のよいビルティに、澄央がジトリとねばっこい視線をやった。  実のところ、美人なイケメンにいきなりベッドへ押し倒されてあれよあれよと跨られた現在、澄央の腰には思いっきりビルティのあれがフィットしている。  しかもお互い風呂上り。  お揃いのバスローブ越しに体温を感じるなんて、ちょっとした拷問に等しい。  そういう裏事情を込めていろいろと濁す澄央に、ビルティはニンマリと薄ら笑いを浮かべた。それはむしろ都合良きかな。 「意味あるよ、ナス」 「っと……」 「トカゲベッド寝ない。なのにベッド乗るオレ。意味ひとつだけ……知りたい?」  ぐっと顔を近づけて軽くかしげる。  天蓋の影の中で、トカゲの赤い舌がチロチロと艶めかしく薄い唇を出入りする。  それでも澄央がドキリともした様子のないいつも通りの表情なのが、ビルティは些か不満だ。本当はそう見えるだけなのだが。 「だってオレナス好きで、ナストカゲ好き。両想い。あとは恋人なるだけ」 「え」 「ほら、付き合うしたら、抱いていいぜ」  河川敷で野宿ができるトカゲがわざわざベッドを使う意味なんて、恋しい相手に抱かれるために決まっているじゃないか。  ビルティが脅すように説明すると、澄央はなぜかキョトンと目を丸くした。 「……あの、ビルティって俺のことガチで好きなんスか?」 「? うん。ナス好きガチ」 「恋愛的に?」 「そう。トカゲジョーク言わない。何度も付き合う聞いた。好きだから聞く。好きな人ひとりじめする当然。常識。当たり前。ね? ずっとそう言ってる」 「いや初耳ッス」  今更なにを聞いているんだとばかりにスラスラ答えるビルティに、澄央はプルプルと首を横に振る。  ビルティはむっと目を細めた。ジョークだと思われていたなんて心外だ。  けれどややあって、澄央が自分の胸に置かれたビルティの右手を左手でキュッと掴むと、ビルティは澄央を責める気がしゅるるんと引っ込む。  澄央の大きな手。  トカゲは澄央の手が特に好きなのだ。  ビルティが自然ニマニマと頬をゆるめると、澄央は申し訳なさそうにビルティを見上げて握った手に指を絡めた。 「ンフ」 「うわー……俺めっちゃ付き合うってのスルーしてたス。ガチだったとは、ごめんス。ビルティ割とナイーブスもんね。マジでごめん。全然ジョークだと」  ぺこりと頭を下げる澄央。いいってことよ。その代わりに付き合ってくれ。  ここぞと条件を出すトカゲはこんなにも愛らしく純粋無垢な生き物だが、実はちょっぴり腹黒い。ちょっぴり。  追い打ちがてら〝付き合ってくれれば今後澄央の発言全てを無条件で許す〟とおいしい条件も提示するが、澄央は「いや付き合わねースけど」と拒否した。 「チッ」 「ごめんて。適当な男なんスけど、恋人だけはとりあえずとかイケるタイプじゃねぇんスよ、俺。ちゃんと付き合いてぇ」 「じゃ、ちゃんと付き合う?」 「無限ループって怖くね?」  別に怖くない。いいから付き合おう。  そう言うとダメダメと拒否された。チッ。どうして澄央はこう聞き分けないのだろう。なにか理由があるならそれを叩き潰して絞め殺してあげるのに。  イケメンが好きなくせにイケメンに跨られて告白されても揺らがないなんて、と不思議でならず、ビルティは疑問符を飛ばす。  めげずにひたすら付き合って付き合ってと訴えながら、澄央の胸をたしたし左手で叩く。左手も捕まった。嬉しいのでいい。いいけど好きになってほしい。  両手が捕まったのでストレートに言葉にしてみると、諦めないビルティに手を焼く澄央はフゥとため息を吐いた。

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