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狭い直腸を拡張されながら前立腺をなぞられる九蔵は出入りされるたびに背筋を丸めては伸ばし、ビクビクッ、とシーツの上で打ち上げられた魚のように跳ねた。
逃れられない快感の嵐。
ただ指が直腸の粘膜を出入りしているだけなのに、気持ちよすぎて力が入らない。
耳の穴を犯す舌が軟骨の形にそって舐めるたび、ダイレクトに響く水音と吐息で気が狂いそうだ。
声は我慢しないようにしているが、口元を隠す手の中で「ふっ……」と漏れる虫のような哀れな鳴き声が聞こえる。
中を拡張する白く長く美しいニューイの指が三本、四本と増えると、今度は指を突っ込んだまま粘液を掻き出すように、ぢゅぷっ、ぢゅぷっ、としこりを引っかかれた。
「ん…あ゛ッ…!」
「解しているだけなのにグチャグチャだね、九蔵。ふーむ、感度が良すぎるのも考えものだな……」
「あッ、あッ」
(んなこと言いながらそんなふうにされたら、俺、すぐイクから……っ)
二週間ぶりとあって窮屈なそこを丁寧にゆるめてくれているのだろうが、激しくも念入りに解されると下半身が重くトロトロと溶けていくようだった。
それだけ凌辱されても健気なもので、胎内はきゅうきゅうと絡みついて甘え無意識に奥へ奥へと異物を誘う。
九蔵は言葉なく身をよじるが、足を押えられているので腰を引くこともできない。
股の形にピタリと手をそわされ、グチョグチョと機械的に中を扱かれると、勃起したモノの先端からタララ、と蜜が糸引いた。
「あッ…やッ…あッ…ひッ…」
あぁ、イキそうだ。
出さずにイク。
前立腺がぷっくりと腫れて、指じゃ届かない奥が切なく疼きくすぐったい。
耳がゾクゾクと粟立つ。気持ちいい。鼓膜が気持ちいいなんてやらしい。
粘液の絡むクチャクチャという水音に自分の喘ぎ声。乱れた呼吸。手が尻肉にぶつかる時の破裂音。衣擦れ。
ニューイの舌が鼓膜の手前を舐める音も、ふとした笑みも、囁き声も、耳たぶをしゃぶる音も、全部興奮する。
自分が絶頂に追いやられていく淫らな音が全て耳に届いて、最低で、泣きたくなるほど興奮する。
「イク……っもう、中でイく……っ」
「む、それはいけない」
「ンっ」
プルプルと首を揺らして絶頂の気配を申告すると、ニューイは九蔵の中に挿れていた指を一気にズルリと引き抜いた。
なんで抜くんだ。
もう少しでイけたのに。
「ぁ、はっ、ちょ、ニューイさん?」
九蔵ははぁはぁと乱れた呼吸を整えつつ、恨みがましい視線でニューイを見つめる。
寸止めなんて酷い。片手と舌でこんなに感じさせたのはニューイじゃないか。
射精をともなわない中イキならば精を全て啜られることもないので、焦らさなくてもおかわりができるはずだろう?
そんな視線で見つめられたニューイは、真剣な表情でピコンと指を立てる。
「イジワルじゃないぞ? 中でイクとここが締まるだろう? せっかく拡げたのにそれじゃ意味がない。それに九蔵の中は気持ちがいいから、私が入ってからイってほしい」
「っん、っ」
ニューイはそう言って九蔵の下腹部をヌルヌルと手で弄びながら、指の代わりに熱く滾った屹立で入り口をつついた。
確かにイクと締まるので体の構造としては理にかなっている。
だが後半はただの欲望だ。
つまり挿入でイッてくれと? ……いい趣味をしているじゃないか、悪魔様め。
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