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九蔵は火照った顔をへの字にへちゃむくれさせる。けれどなにも言わない。
ソワソワしていたニューイは、尻尾と耳が見えそうな笑顔で嬉しげに熱棒を押し当てた。悔しいが顔がいい。
「九蔵。そっとするから、全部挿れるまで我慢しておくれ」
「っぅ……」
ホットな声をかけられるとともに、丸みを帯びた先端がぐぷ、と九蔵の中へ簡単にもぐりこむ。
横倒しに片足を上げてねじ込まれる九蔵は、一度引いたはずの絶頂感をやすやすと蘇らせた。
反射的に締めつけてしまいそうになるがここはこらえて、入りやすいように奥を拡げて待ち望む。
「っひ……っ、ぉ…あっ……」
抵抗もせずに呑み込んでいく中へ肉棒がぬるるる……と滑り突き刺さっていくと、九蔵の背筋を快楽がゾクゾクと駆け上がり、甘い吐息が漏れた。
もう慣れた感覚。
自分の中に他人の肉が押し込まれる感覚。
膨満感はあれど苦痛はなく、そそり勃つ陰茎が脈打つほどの快感を味わうと九蔵はすぐに達しそうになる。
挿れただけでイキそうな自分が恥ずかしい。しかも普通ならそう簡単ではない中でイってしまいそうだなんて、恥ずかしすぎて客観的に考えたくない。
「あ……イく、ニューイ、もう……っ」
特等席で嬉しそうに九蔵の顔を見つめるニューイは、いつでもどうぞと頷いてユルユルと腰を動かした。
一度根元まで埋め込んだモノをズルリと半ばまで引き、それからズプリと押す。ほんの一度だけの律動だ。
「ぅう……っぁ、ぁあ…あ……っ!」
「っ、くっ……」
だけど入り口のあたりをカリ首で軽く引っかかれただけで、九蔵は孕んだニューイをギュッと中を締めつけながら、喉をのけぞらせてあっけなく達した。
柔らかい肉に強くしがみつかれたニューイが微かに呻き、ヒクヒクと痙攣する九蔵の膝小僧に唇を落とす。
「ん…っ……はっ……あ〜……」
「ちょっとキツすぎだ……久しぶりだからか、痛いくらいである」
「なんかどんどん、いやもう……」
九蔵は寸止めされたせいでより増した快感の余韻に浸りながら、苦々しく喘ぐ。
普段より気持ちいい。この体はいやなことを覚えてしまった。
これにハマッたらどうしよう?
言葉責めは羞恥プレイで、愛撫は焦らしプレイ。更にイキは寸止めプレイとハマれば、トリプル役満立派な淫乱だ。
「締めすぎだよ、九蔵。私のがもげたらまた生やすまで中断だぞ?」
性癖の自覚に呻く九蔵へ、キツイ中へ自身をなじませるべくゆるく抜き差ししつつニューイは唇をとがらせる。
「それ動かしながら、っん、言うか?」
「だって我慢できないのだよ。九蔵の中はどこに出しても恥ずかしくないくらいいい動きをするからね。誇っていいのだ!」
「俺さんはどこにも出る気ねぇですー……んっ、で、誇るほどセックスうまくねぇですから、早く動いてください」
「むへ」
どこにも出さないでくれ。
この体を他に許す気はないし、九蔵はずっとニューイだけがいい。口にすまいが。
ぬぷぬぷとささやかに揺すられながら九蔵が足を曲げてガシッ! とニューイの首に引っ掛けると、ニューイは変な声を出してデレ〜っとニヤケた。
なんだその顔は。なおイケメンだぞ。
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