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第4話 ゲームの世界
目を覚ますと、そこはまた知らない場所だった。
俺が居た掘っ立て小屋とは違って、豪華な部屋。
明らかに高額であろう装飾が施された家具、天井にはシャンデリア、俺が今寝てるベッドはキングサイズで天蓋までついている。
俺はキョロキョロと部屋の中を見回した。
………こんな感じの部屋、テレビで見たことあるなぁ。
確か海外の富豪の部屋がこんな感じだった。
そんな事を考えているとカチャっと扉が開いた。
その音に思わず体が跳ねる。
見るとメイド服を着た女の人が立っていた。
「気が付かれましたか。ご気分はいかがですか?」
女の人は持っていた水のはいった洗面器をサイドテーブルに置きながら言う。
「……大丈夫です。あの……ここは?」
「ここはグロウ家の屋敷です。あなたは3日前に街で倒れているところをお嬢様に助けられたのですよ」
3日前……俺はそんなに眠っていたのか。
それにグロウ家って……お嬢様って誰だ?
グロウ……何だろう、どこかで……
そう考えた瞬間、ズキンと頭痛がした。
俺は頭を押さえて踞る。
「どうされたのですか!?」
突然踞った俺に女の人が手を差し伸べる。
俺はそれに答えることが出来なかった。
……何だ、頭に何か映像が浮かんでくる。
これは……"俺"の記憶?
次の瞬間またカチャと音がして、その音が耳に入ると頭に浮かんでた映像も頭痛も消えていた。
扉の方を見ると、今度は女の子が立っていた。
「良かった、気付かれたのですね」
そう言って女の子は微笑む。
見た目はディラントより少し年上。
フワッと少しウェーブのかかったブロンドの髪、ラベンダー色の瞳。
俺はこの少女に見覚えがあった。
「…………シャロウネ・グロウ?」
『シャロウネ・グロウ』
そう口に出した途端、俺はハッとした。
そんな事は有り得ない。
だって『シャロウネ・グロウ』は…………
俺は少女を見る。
目が合うと、少女はニコッと微笑んだ。
「気分はいかがですか?」
「……大丈夫です」
そう言うと、少女はまた微笑む。
「申し遅れました。私(わたくし)はシャロウネ・グロウと申します」
少女は名を告げると、スカートを広げて少し足を折る。
少女は確かに『シャロウネ・グロウ』と名乗った。
信じられなかった。だってシャロウネ・グロウは妹がハマってた乙女ゲームの登場人物。
そんな事有り得ないと思った。
その瞬間、また頭痛がする。
俺は咄嗟に頭を押さえた。
近付いてくる強い光。
誰かが叫ぶ声。
これは……
「……ですか!?」
ふと頬に何か触れる感触がして俺は顔を上げた。
目に飛び込んで来たのはシャロウネの心配そうな表情。
「大丈夫ですか?」
そう言ってシャロウネは俺を覗き込む。
「……大丈夫、です」
思い出した。
俺はあの時、トラックに跳ねられた。
………妹の目の前で。
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