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第6話 ∥

風呂から上がると、バスローブを着せられてボサボサだった髪を切られ整えられる。 その後はさっきまで着ていたボロい服とは違って高そうな服を着せられた。 いくら見た目は子供だからって、中身は25のいい年した男だ。 それを風呂から着替えまで女の人にされるって……… 俺は恥ずかしいやら情けないやらで、完全に抵抗する気力を無くしていた。 支度が終わると、姿見の前に立たせられた。 「見違えられましたね」 とリーナさんが言う。 他のメイドたちもキャッキャッ言いながら騒いでいた。 ………これがディラント。 綺麗に整えられた艶のある黒髪、緑だと思ってた瞳はアイスグリーンだ。薄汚れていた肌は綺麗に洗われて本来の肌色を取り戻している。 ガラスの破片に映った姿をみて美少年だとは思ったけど、ここまでとは…… でもやっぱり知らないキャラ。 ディラントがゲームに登場してれば、必ず注目されてた筈だ。 俺は鏡に映った姿に手を伸ばす。 以前の俺とは似ても似つかない、以前の俺の面影が一切ない姿。 ………どうして俺はここに居るんだろう。 なんで『ディラント』なんだろう。 そんな事を考えていると、扉がノックされた。 リーナさんが扉を開けると、そこにはさっきとは違う格好をしたシャロウネが立っていた。 「まぁ!とても素敵です!」 シャロウネは部屋に入って俺を見るなり、そう言って顔を綻ばせる。 誉められてるのはディラントで、俺じゃないから微妙だけど…… 「…ありがとう、ございます」 その後シャロウネは『さぁ行きましょう』と言って俺の手を取ると、一緒に食堂に向かった。

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