8 / 225

第7話 シリウス・グロウ

俺はシャロウネに連れられて長い廊下を歩く。 その後ろにはリーナさんとあと二人、別のメイドが着いてきていた。 どこまでも続く廊下に均等に取り付けられた燭台。そこには蝋燭が淡い光を放っている。 所々に飾られた絵画に美術品。 ………まるで海外のお城だな。 俺はその雰囲気に圧倒された。 シャロウネと一緒に食堂まで行くと、扉の前に執事らしい人が立っていた。 その人は俺たちに……というよりはシャロウネに軽く頭を下げて扉を開けた。 開けられた扉の先には広い空間があって、その中央に大きくて長いテーブルが置いてある。 天井は高くて、大きいシャンデリアが一つ、壁には大きい窓がついていて、ここにも絵画や美術品なんかが飾られていた。 ふと部屋の奥、上座に座ってる男の人に気付いた。 目が合うと、その人は立ち上がってこちらに近付いてくる。 その人は俺の前まで来ると、膝をついて俺の目線までしゃがんだ。 ブロンドの髪にラベンダー色の瞳…… 多分この人は…… 「君がシャーネが連れてきた子だね。初めまして、私はシリウス・グロウ、シャーネの父だ」 ……やっぱりシャロウネの父親。 シャロウネが美少女なら、父親もイケメンだ。 そんな事を考えて、俺はハッとした。 「は、初めまして、ディラントです」 俺は自分が名乗ってないことを思い出して、慌てて名乗って頭を下げた。 貴族の礼の仕方は分からないから、ここは日本式のお辞儀。 「そんなに畏まらなくて大丈夫だよ」 そう言って伯爵様は笑う。 見た感じ、"俺"と同年代くらいか…… 「さぁ、挨拶はこのくらいにして食事にしよう」 そう言って伯爵様がパンと手を鳴らす。 そうすると、今まで部屋の角にいたメイドと執事たちが動き出した。 俺とシャロウネはメイドに席まで案内されて椅子に座るように促された。 シャロウネの椅子は他の椅子より足が長くなっている。 この世界にも子供用の椅子ってあるんだな。 俺の座る椅子はクッションで高さが出されていた。 俺がここで食事をするのは急遽決まったことだから仕方ない。 そんな事を考えていると、メイドに『失礼します』と抱えられて椅子に座らされた。

ともだちにシェアしよう!