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第8話 ∥

皆が席についたことで、食事が運ばれてくる。 俺はあることを思い出して困っていた。 …………どうしよう俺、食事のマナーなんて知らない。 「どうした、食べないのか?」 俺がマナーを気にして食事に手をつけないでいると、伯爵様にそう聞かれる。 「………すいません。俺、マナー知らなくて……」 俺が素直にそう言うと、伯爵様がクスクスと笑った。 「気にする事はない。君は今までスラム街に居たんだ、知らなくて当然だ。マナーはこれから覚えていけばいい。今日は好きに食べなさい」 そう言って伯爵様は笑う。 俺はまだ気は引けたけど、伯爵様の言葉に甘えて目の前の料理を食べる事にした。 ナイフとフォークを持って料理を食べた。 「っ!?」 うわっ!すっごい美味しい! こんなの日本のレストランでもなかなか食べれない。さすが貴族の料理。 「美味しいかい?」 パクパクと食べてる俺に、伯爵様がそう聞いてくる。 「はい、すごく美味しいです」 俺がそう答えると、伯爵様は笑って自分も料理を食べ始めた。 食事を終えて、今は食後のお茶とデザートを食べていた。 料理はすごく美味しかった。 でもディラントは今までまともに食事をしてこなかったんだろう、料理も半分も食べない内にお腹一杯になってしまって残してしまった。 食後のデザートもせっかく用意してくれたからと食べてみたけど、一口だけでそれ以上は無理だった。 俺は目の前のデザートには手を着けず、お茶だけを飲んでいた。 少し経つと、満腹になったせいか睡魔が襲ってくる。 意識は大人でも体が子供なせいか、その睡魔に抗えない。 頑張ってはみたものの、俺の記憶は途中で途絶えた。

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