14 / 225
第13話 ∥
伯爵様との話を終えて、俺は部屋に戻っていた。
………伯爵様の子供に?
って事は、俺がシャロウネと姉弟になるってこと?
ゲームではシャロウネに弟なんて居なかった。
多分この世界にとって俺は異質な存在。
でも伯爵様の養子になるのは、俺に取っては魅力的な話だ。
この世界で生きていくにはディラントはまだ小さすぎる。
"俺"は出来ても、ディラントじゃ一人で生きてくのは難しい。
……どうする。シャロウネはゲームの重要キャラだ。
本来なら居ない筈の人物が傍に居ても良いのか?
そんな事を考えていると部屋の扉がノックされて、俺は返事をして扉を開けた。
扉を開けると、立っていたのは伯爵様とさっき執務室に居た執事。
「……どうかしましたか?」
「少しディラントと話をしようと思ってね」
そう言って伯爵様はニコッと笑う。
伯爵様が『入ってもいいかな』と言ってきたから部屋の中に招き入れた。
伯爵様と一緒にさっきの執事も入ってきた。
………この人、やっぱり見覚えがある。
多分、この人もゲームの登場キャラ。
「あぁ、そういえばまだ紹介をしてなかったね」
俺が彼を見てるのに気付いたのか、伯爵様がそう言う。
「彼はアラン、私の従者をしてもらっている」
………アラン?………ってアラン・リード!?
攻略対象の一人じゃないか!
……そうか、ゲームではアランの年齢はもっと上。
ゲームとは少し雰囲気が違ったから気付かなかったのか。
そう思って、俺はアランを見た。
アランを見てると、パチッと目が合う。
目が合うとアランがフッと笑って、俺は思わず目を逸らしてしまった。
しまった、凝視しすぎたかな。
そう思っていると、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
見ると、伯爵様が笑っていた。
「あ、放っておいてしまってすいません」
そう言って俺は伯爵様に駆け寄った。
「構わないよ」
そう言って伯爵様は笑い続ける。
「……で、話とは?」
俺たちはソファに座って、落ち着いたところで話を切り出した。
「君の話を聞きたくてね」
「………俺の?」
「君はいくつになる?」
「……多分、7歳だと思います」
「多分?」
「誰からも教えられなかったので」
そう言うと、伯爵様は考え出す。
「……そうか。では、その言葉使いや行動は誰から教わった?」
そう聞かれて、俺は一瞬焦った。
俺の言動は生前のもの。
そんな事説明出来るわけがない。
どうする、どう言えば誤魔化せる?
「………誰からも教わっていません。ここに来たときに、リーナさんや他の人が話してる言葉を聞いて……」
「………ナイフやフォークの使い方は?」
「………伯爵様やシャロウネお嬢様が使ってる所を見て、なんとなく………」
考えた末、俺が思い付いたのは皆の真似をしたというもの。
正直、こんな付け焼き刃の言い訳が伯爵様に通用するとは思えなかった。
ともだちにシェアしよう!