16 / 225

第15話 ∥

「シャーネ、今日からディラントはシャーネの義弟のなった」 夕食の時、伯爵様がシャロウネにそう告げる。 それを聞いた瞬間、シャロウネの表情がパァと明るくなった。 「本当ですか!?私たち姉弟になったのですか!?」 そう言ってシャロウネは喜ぶけど、俺は違和感を感じていた。 ディラントは7歳、シャロウネは8歳。 伯爵様の養子になってシャロウネと姉弟になるってことは、ディラントは自動的に弟になる。 でも"俺"は25歳でどちらかと言えば兄の感覚だった。 「ディラント、ディラント。私たち姉弟になったのですよ!」 そう言ってシャロウネは満面の笑みを見せる。 「…そうですね」 「ディラント、これからは私のことは『シャーネ』と呼んでください。私もディラントのことを『ディー』と呼びます」 ………『ディー』って言うのは愛称なんだろうか。 「ディー、これからよろしくお願いします」 そう言ってシャロウネは手を差し伸べてきた。 「…はい、こちらこそよろしくお願いします」 「これで私たちは家族ですね」 そう言ってシャロウネは笑った。 ……家族か……二人には悪いけど、"俺"は二人の事を家族と思えない。 養子になることは了承したけど、家族じゃなくて同居人の感覚だ。 良くしてもらってるのにこんなこと考えるなんて、俺は嫌な奴なんだろうな。 そう思って、俺は苦笑を漏らした。 でも、それは仕方の無いこと。 だって"俺"にとって家族は、友華だけだから。

ともだちにシェアしよう!