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第18話 ∥
(シャロウネside)
ディラントは私がスラム街の近くで倒れている所を見つけた。
声を掛けると微かに反応があって、うっすらと目を開けた。
その隙間から覗く瞳がキラキラと輝いて美しいと思った。
私はその瞳を今度はちゃんと見たくて、リーナの反対を押し切ってディラントを邸に連れ帰った。
連れ帰ったディラントをお医者様に診せると、疲労と栄養失調による衰弱との診断だった。
他にも体のあちこちに痣や擦り傷などが無数についていた。
私とは差ほど歳が変わらないのに、どれだけ辛い目に合ったのだろう。
私はそれを思うと悲しくて仕方なかった。
お父様にディラントの事を伝えると、スラム街の事、スラム街で育った子供がどういう風に育つのかを教わった。
お父様にはディラントが目を覚ました時、無闇に近付かないように、安全が確認出来てからと注意を受けた。
ディラントを邸に連れ帰ってから3日後、ディラントが目を覚ましたとリーナから知らせを受けた。
先に対応したリーナから面会の許可が出た。
私は意気揚々とディラントの居る部屋に向かった。
そこで見たのは、汚れてはいるけどその汚れすら気にならない程の整った顔と美しいアイスグリーンの瞳を持つ男の子だった。
ディラントは言葉も態度もしっかりとしていて、お父様に聞いていたような人物では無かった。
でも時折アイスグリーンの瞳に悲しみがみえるのが気になった。
その事をお父様に伝えると、お父様も気になったみたいでディラントを夕食に招待することになった。
初めてディラントに会ったお父様も、ディラントの事を気に入ってくれたみたいだった。
ディラントは運ばれてきた食事を誰かに教わったようにナイフとフォークを使って綺麗に食べる。
お父様も私もそれには驚いた。
次の日、お父様がディラントを養子にすると言い出した。
私はそれを聞いて嬉しくて仕方なかった。
ディラントと家族になれることが嬉しかった。
でもその事をディラントに伝えると、ディラントの瞳にはまた悲しみが映った。
どうしてディラントはこんなにも悲しい瞳をするのだろう。
出来るなら、その悲しみを取り除いてあげたい。
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