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第19話 ∥

(シャロウネside) 「リーナ、ディーが何処に居るのか分かりますか?」 「ディラント様なら恐らく書庫室に居らっしゃるかと」 「またですか!?」 ディラントは文字が読めるようになってから、時間があれば書庫室に入り浸るようになった。 何かを調べているようだけど、それを私たちには教えてはくれない。 「ここ最近、お勉強に魔法の訓練、時間があれば書庫室に籠りきり……少し根を詰めすぎのような気がします」 リーナが心配そうに言う。 「では、ディーの気晴らしになるようにお茶にでも誘いましょうか」 「それは良い考えです!では早速お茶の用意をいたしますね」 そう言ってリーナは笑う。 「宜しくお願いしますね」 リーナと別れた後、私は書庫室に向かった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (ディラントside) 文字が読めるようになってから俺は書庫室に入り浸るようになった。 読んでいるのはこの国の歴史書。 転生者について何か分かるかも知れないと思った。 歴史書に書かれているのはこの国の歴代の国王の名前だったり、戦争だったりの大きな事件ばかりだった。 俺が求めているものは書かれていなかった。 ただ一つ、気になる事があった。 それはドラコン襲来の話。 この世界には魔物が存在する。 イノラバの舞台は基本、学園がメインストーリーになるけど、それぞれのルートにセカンドストーリーというものが存在する。 確か、オルトルートのセカンドストーリーに魔物討伐っていうのがあった筈。 それがドラコンだったかどうかは聞いてなかった。 別の本に何か書かれてるかな? そう思って、俺は別の本を探そうと立ち上がった。 その瞬間、グラッと視界が揺れた。 ………あれ…

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