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第20話 ∥

(シャロウネside) 「………ディー?」 書庫室の扉を開けてそっと覗いてみる。 でもそこにはディーの姿は無かった。 居ない、別のところに居るのでしょうか。 そう思ったけど、机の上に置いてある本が目に入った。 ディーが読んだ本をそのままにする筈がないと思って、私は確認の為に書庫室に入った。 「……ディー?居ないのですか?」 私はディーの姿を探して辺りを見回す。 ふと、机の陰から見える人の足に気が付いた。 私は慌ててその場に駆け寄った。 「ディー!?」 そこには、ディーが倒れていた。 「ディー!?ディー!?どうしたのですか、しっかりしてください!!」 倒れているディーの見ると、体を震わせて荒い呼吸を繰り返す。 ディーの頬に触れると、とても熱かった。 「っ!?……誰か!誰か居ませんか!?」 私が部屋の外に向かって叫ぶ。 「お嬢様!?どうされました!?」 私の声を聞き付けてアランが入ってきた。 「アラン、ディーが!」 アランを引っ張ってディーの元へ連れていくと、倒れているディーを見てアランがディーに駆け寄った。 アランは急かさずディーの服を緩め、首筋に触れる。 「……熱が高いですね」 そう言うと、アランはディーを抱えた。 「取り敢えずディラント様のお部屋に運びます」 「ディーは!?ディーは大丈夫ですか!?」 そう言ってアランに詰め寄ると、アランはフッと笑う。 「大丈夫ですよ。熱はありますが心配いりません」 そう言ってアランは頭を撫でてくれた。 アランはディーを運ぶ途中で会ったメイドや従者たちにお医者様の手配と必要な物を指示する。 途中で会ったリーナにも指示を出していて、リーナは小走りで走っていった。 ディーの部屋に着くと、アランは私に部屋には入らないように言ってきた。 もしかしたら何かの病気かもしれないから移らないようにとの事だった。 アランは部屋に戻っているようにと言っていたけど、私はその場から動かなかった。 ディーはいつから体調を崩していたのだろう。 私は、どうして気付かなかったのだろう。 毎日一緒に居たのに……どうして…… そう思って、私は手をギュッと握り締めた。 しばらくすると、お医者様が来て部屋の中に入っていった。 お願いします。どうか無事で…… 私は祈るように顔の前で手を組んだ。 「シャーネ!!」 どれくらい経ったのか、名前を呼ばれてハッとする。 声のした方を見ると、お父様は慌てた感じで走ってきた。 「お父様!」 私は堪らなくなって、思わずお父様に抱きついてしまった。 「お父様、ディーが……ディーが……」 もう訳が分からなくなって、ぽろぽろと涙を流した。 そんな私をお父様が少し引き離して私の前にしゃがんだかと思うと、突然抱き締めてきた。 「ディラントは大丈夫だよ」 そう言ってお父様は私の背中を撫でてくれた。 しばらくすると、お医者様が部屋から出てきた。 「先生、ディーは!?」 「ディラント様は大丈夫ですよ。ゆっくり休めば良くなります」 詰め寄った私にお医者様はそう言って微笑んだ。 「……あの、中に入っても?」 「大丈夫ですよ」 そう言ってお医者様は笑う。 私は許しを請うようにお父様に視線を向けた。 その視線に気付いたお父様がニッコリと笑う。 「私は先生と話をしてくるから、シャーネはディーの傍に居てあげなさい」 そう言ってお父様は私の頭に手を置いた。

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