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第21話 ∥

(シリウスside) 「……それで、ディラントの容態は?」 私は医者を書斎に招き入れると、早速ディラントの容態を聞いた。 「ディラント様の容態は過労とストレスから来る発熱と思われます」 「過労とストレス?」 「はい、ディラント様の場合、数日前にこちらにお越しになったとお伺いしました。恐らく、環境の変化によって過度な疲労とストレスが原因かと」 そう医者は言う。 「………私たちの配慮が足りなかったのか」 そう思って、私はため息を漏らした。 「いえ、環境の変化による体調不良はよくあることです。ですがディラント様の場合、それが極端に酷いのです」 「……酷いとは?」 「メイドや従者の方に普段のディラント様の様子を伺ったところ、勉学に訓練、その合間には書庫室に通われていると言っていました。これは明らかにオーバーワークです。失礼ですがディラント様はお食事は?」 『ちゃんとお食事はされてますか』と医師は言う。 「ディラントはここに来るまでの食生活が酷かったせいか、かなり食は細い。シャーネと同じ量の半分も食べていない」 「………それはいけませんね。すぐには無理ですが、少しずつ食べられるようになれば良いのですが」 そう言って医師は『どうすれば』と悩む。 「取り敢えず、今は安静第一です。しばらくはゆっくりと休養を取っていただきます。 …………そうですね、少なくとも7日間はあまり過度な運動は避けていただいた方が宜しいかと」 「そうか、分かった」 医師が帰ると、私は息をついた。 ディラントにとって、この家に来た事が負担になっているのだろうか。 養子縁組を半ば強引に進めてしまったことは自覚している。 それはこの機会を逃せば、これほどの子は現れないと思ったからだ。 でも、もしかしたら私のこの期待がディラントにとっては負担になっていたのかもしれない。 最初はディラントの聡明さを気に入った。 およそ7歳とは思えぬ言動、学習能力。 ディラントは文字を全く読み書きが出来ない状態から、たった3日で文字が読めるようになった。 算術に至っては、1日で全てを理解してしまった。 そんな子に期待するなと言う方が無理な話だ。 でも私がディラントを引き取ったのはそれだけではない。 確かに切っ掛けはそうだったとしても、今ではディラントもシャーネと同じように、実の子のように思っている。 でもディラントにはそれが伝わっていないように思える。 ………一度、ディラントときちんと話す必要があるか。

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