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第22話 ∥
真っ暗で何も見えない。
………またあの夢だ。
しばらくすると、目の前に人影が現れる。
その人影が段々とはっきりしてきて、その人影が誰なのか見えてくる。
『………友華』
この世界に来てから何度同じ夢を見たんだろう。
夢の中の友華は笑うことも、話すこともなくただ見つめてくるだけ。
それでいて、こっちが近付くと友華はどんどん離れていってしまう。
友華は俺の事を怒っているんだろうか。
だから笑顔も見せてくれず、話もしてくれない。
『………ごめん…』
ずっと一緒に居るって約束したのに……
『……ごめん…友華』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(シャロウネside)
お医者様のお許しが出たことで、私はそっとディーに近付いた。
眠るディーの額に触れるとさっきよりは下がっているけどまだ熱かった。
リーナが椅子をベッドの横に運んでくれて、私のそれに座ってディーの顔を眺めていた。
「……うっ…」
どれくらい経ったのか、ディーが唸り声を上げた。
「ディー?」
ディーを覗き込むと、ディーは苦しそうな表情をしていた。
「ディー!?」
私はディーの具合が悪化したのかと思って、慌ててディーに触れた。
その途端、ディーがボロボロと涙を流し始めた。
『~~~~~』
「え?」
『~~~~~~』
聞いたことの無い言葉。
何て言っているのかは私には分からない。
多分、魘されての寝言。
でも……
私は胸を抑える。
とても悲しそうに涙を流すディーを見て、胸が苦しくなった。
私はどうしようも無くなって、お父様の居る執務室に走った。
でも私は執務室の扉の前で立ち止まってしまった。
お父様は今仕事中……
私が入っていったらお仕事の邪魔になってしまう。
そう思って、私はその扉を開けられずにいた。
私が執務室の前で途方に暮れていると、執務室の扉が開けられる。
中からアランが顔を出した。
アランはお父様の従者だけれど、とても不思議な方。
私が執務室の扉の前まで来ると、ノックをする前にこうして扉を開ける。
前にどうして私が来たことが分かるのかと訪ねてみたけど、『お嬢様のことなら何処ででも分かりますよ』などと言って上手くはぐらかされてしまった。
アランと目が合うと、アランは何も言わずに扉を全開に開けた。
開けられた扉から、真っ直ぐお父様が見える。
お父様の顔を見た途端、私は感情が溢れて押さえられなくなってしまった。
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