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第25話 ∥
(リーナside)
ディラント様は、とても聡明で美しい方。
我々メイドや従者にまで気を掛けてくれる。
でも、いつもどこか寂しそうにしていた。
旦那様の養子になられてからも、ずっと勉学に励んでいた。
全く読み書きが出来ない状態からわずか数日でマスターしてしまったり、算術を教えもせずスラスラと解いてしまったり……
私たちの想像を越えてくるところはあるけど、時折子供らしい振る舞いをするときもあった。
それでもやはり、この方の行動は身の丈に合っていない。
ディラント様がこの家に来たとき、汚れていたディラント様をお風呂に入れようと抱えたとき、ディラント様があまりにも軽くて驚いた。
ディラント様は7歳にしてはお体が小さい。
でも、スラム街での生活を考えるとそれも仕方のない事だと思う。
おそらくディラント様は誰かに頼るということを知らない。
誰かに寄り添うということを知らない。
私は眠ってしまったディラント様の布団を掛け直す。
「そんなに頑張らなくてもいいんですよ。
少しずつ、ご自分の出来る範囲で良いのです。
早く気付いて下さい。あなたにはもう、寄り添ってくれる家族がいるのですよ」
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