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第26話 ∥
目を覚ますと、また一瞬状況が分からなくなる。
俺は体を起こすと、手を引かれる感覚がする。
見ると、シャロウネが俺の手を握ったまま眠っていて、俺は夜中の事を思い出した。
……シャロウネ、もしかしてあのままここで…?
俺は眠るシャロウネを見つめる。
………………どうしてシャロウネはここまで俺のことを気にするんだろう。
分からない。
伯爵様もシャロウネも……
どうして会って間もない俺をこんなに気にするんだ。
そんな事を考えていると、カチャと音がして扉が開いた。
その音に驚いて思わず体が跳ねた。
「あ、申し訳ありません。驚かせてしまいましたか」
そう言ってリーナさんが申し訳なさそうにする。
「…いえ大丈夫です」
俺がそう言うと、リーナさんはホッとした顔をした。
「ご気分はいかがですか?」
そう言ってリーナさんが俺の額に手を置いた。
そういえば、怠さが少し和らいでいる。
少しは回復しているのかな。
「大丈夫です。迷惑掛けてしまってすいませんでした」
「ディラント様、"迷惑"ではありませんよ。私たちは迷惑なんて思っておりません。"心配"は致しましたが」
そう言ってリーナさんは笑う。
ただ俺はリーナさんの言ってる意味が分からなくて首を傾げた。
そんな俺を見て、リーナさんはまたクスクスと笑った。
「何か食べるものをお持ちいたしますね」
そう言ってリーナさんは出ていってしまった。
結局、リーナさんが言っていた意味は分からなかった。
こんなの迷惑じゃなくて何なんだろう。
それに心配も掛けてしまったみたいだ。
俺は眠るシャロウネをチラッと見た。
リーナさんが、俺が倒れた原因は過労とストレスだって言ってた。
移るような病気じゃなくて良かった。
シャロウネに移してしまったら、これこそ迷惑どころじゃない。
リーナさんもそれを心配してたんだな。
そんな事を考えていると、シャロウネがモゾッと動いた。
起きたかと思って見ていると、シャロウネが目を擦りながら体を起こす。
その後、シャロウネとパチッと目が合った。
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