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第27話 ∥
目が合うと、シャロウネがガバッと起き上がる。
「おはようございます」
俺がそう挨拶すると、シャロウネが俺の頬に触れてきた。
「ディー、もう大丈夫なのですか?気分は悪くないですか?」
あぁ、相当気に掛けさせてしまった。
「もう大丈夫ですよ」
そう言って頬に添えられてるシャロウネの手に自分の手を重ねた。
「………良かった」
そう言ってシャロウネはニコッと笑った。
「もう!ディーが倒れてるところを見つけて心臓が止まるかと思ったんですよ!」
シャロウネはホッと笑ったかと思ったら、次の瞬間には怒り出す。
「すいません」
まさか自分でも倒れるとは思ってなかったから……
「……ディーが頑張っているのは知っています。でももう少し自分自身も気にかけてあげて下さい」
そう言うシャロウネは、今にも泣きそうな表情をする。
「………すいません」
俺がそう言うと、シャロウネが俺の顔の前に指を突き立てる。
「頑張るのは良いことです。でも頑張り過ぎるのは駄目です。きちんと休息を取ることも大切なんです。今後、もし同じような事があれば容赦しませんわ!!」
そう言い放つシャロウネに、『イノラバ』のシャロウネが重なった。
俺は思わずフッと笑ってしまった。
「……肝に命じておきます」
俺がそう言うと、シャロウネは満足そうにした。
シャロウネとそんなやり取りをしているとリーナさんが戻ってきた。
「あら?シャロウネお嬢様、おはようございます」
起きているシャロウネに気付いたリーナさんがシャロウネに挨拶をする。
「リーナ、おはよう」
シャロウネもリーナさんに挨拶を返す。
「シャロウネお嬢様、お嬢様もこちらでお食事になさいますか?」
「……そうね、そうします。私の食事もこちらに運んで」
シャロウネがそう言うと、リーナさんはスカートを摘まんで挨拶をすると、また部屋を出ていった。
「……あの……ここで食事って、伯爵様と一緒じゃなくて良いんですか?」
「構いません。それにディーは今、動けないのでしょう?」
………俺じゃなくて、シャロウネの事だったんだけど。
伯爵様と一緒に食べなくていいのかと思いつつ、リーナさんがシャロウネの分の食事を俺の部屋に準備してしまって、俺はシャロウネと食事をすることになった。
シャロウネのメニューはオムレツにサラダ、スープにパン。
いつもの朝食メニューだ。
俺の分の食事はリゾットだ。
………ていうか、この世界に米があったんだな。
そう思いながら、俺はリゾットを口に入れた。
「……もうお食べにならないのですか?」
俺の分のリゾットはすごく少なく盛り付けられてる。
普段もそんなに食べれないのに、今は体調不良で食欲がないのもあって、4.5口くらいしか食べられなかった。
そんな俺を見て、リーナさんが心配そうに聞いてくる。
「……すいません」
「いえ、大丈夫ですよ。まだ体調が戻っていないのでしょう」
そう言って、リーナさんは俺を再度ベッドに寝かせた。
「お休みください」
リーナさんは俺に布団を被せ直すと、サラサラと頭を撫でた。
…………頭を撫でられるなんて、いつ以来だろう。
………もう、思い出せないな……
そんな事を考えながら、俺はまた眠りについた。
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