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第30話 ∥

(シリウスside) 夜、ディラントの体調が悪化したと連絡を受けた。 私は急いでディラントの部屋に向かった。 ディラントの部屋に着くと、部屋の前にはメイドが居た。 「旦那様」 私に気付いたメイドが駆け寄って頭を下げる。 「ディラントの様子は?」 「只今お医者様に診て頂いています」 そう言ってメイドは部屋の扉に視線を向ける。 私とメイドは医師の診察が終わるまで部屋の前で待つことにした。 しばらくするとリーナと医師が部屋から出てきた。 医師は私と目が合うと頭を下げた。 「ディラントの様子は?」 「…ストレスだと思います」 「ストレス?」 「はい。今回の体調悪化の原因はストレスによるものです」 「……ディラントに会えるか?」 「今は眠っておられるので……顔を見るくらいなら」 医師の了解を得て、私はディラントの部屋に入った。 キングサイズのベッドに、小さい体が横たわっている。 私はディラントのすぐ横に腰掛けると、ディラントの頬にそっと触れた。 触れた所からディラントの体温が伝わってくる。 ……熱いな。 こんな小さな体で……ディラントは一体何を溜め込んでいるのだろう。 そう思いながらディラントの頬を撫でていると、ディラントがその手にすり寄ってきた。 『~~~~』 よく聞き取れなかったが、ディラントは何かを呟いて涙を流す。 「ディラント?」 ディラントからの反応は無く、眠っているみたいだ。 『~~~~』 ディラントはまた何を呟いて私の手を掴む。 すがるように私の手を掴み涙を流すディラントの頭を、そっと空いている方の手で撫でた。 「…大丈夫、何も心配する事は無い。何も気にせず、今はゆっくりお休み」 伝わったのかは分からない。 でも私がそう言うと、ディラントの表情が少し和らいだ気がした。

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