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第38話 ∥
パーティーなんて気が重い。
そう思って俺はため息をついた。
パーティーなんて元の世界でも出たことないし、どうすれば良いのかまったく分からない。
王宮主催のパーティーだからかなりの規模なんだろうな。
「デビュタントでディーにエスコートしてもらえるなんて。ディーとのダンスも楽しみですわ」
部屋に戻る途中、一緒に歩いていたシャロウネがうっとりしながらそう言う。
それを聞いて、俺は思わず持っていた本を落としてしまった。
「ディー!?」
「ディラント様!?どうされたのですか!?」
そう言ってシャロウネとリーナさんが依ってくる。
「………ダン、ス?」
ダンスってなんだ!?
俺の様子を見て、リーナさんが『あぁ』と声を上げる。
「パーティーではパートナーとダンスを踊ることになっています。ディラント様もシャロウネ様と踊ることになります」
リーナさんが俺の落とした本を拾いながら説明してくれる。
「………………俺、ダンスなんて踊れない」
俺がそう呟くとシャロウネもリーナさんも『あ…』と固まってしまった。
俺たちは急いで伯爵様の元に向かった。
「……そうだったね、完全に失念していたよ」
俺がダンスを踊れない事を説明すると、伯爵様はそう言って少し困った顔をする。
話し合った結果、俺はパーティーまでの半年でダンスを叩き込まれる事になった。
この世界でのダンスはワルツとかが基本だ。
盆踊りとかフォークダンスくらいしか踊ったことがない俺にそんなの踊れるのか?
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