44 / 201

第43話 ∥

……どうしてこうなった!? シャロウネが離れた瞬間、何故か令嬢たちに囲まれた。 数人の令嬢に名前を告げられるけど、これだけわちゃわちゃしてたら誰が誰だか分からない。 シャロウネ、シャロウネはどこ行ったんだ!? 俺はシャロウネを探して辺りを見回してみるけど、シャロウネの姿は無かった。 この令嬢たちを俺にどうしろと!? そう焦っていると、突然少し離れた場所が騒がしくなった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (シャロウネside) 私はディーから離れて、ディーの様子を隠れて眺めていた。 私が離れた瞬間、チャンスとばかりに令嬢たちがディーに群がっていった。 ディーは自分の事を全く分かっていない。 艶やかな黒髪、宝石のようなアイスグリーンの瞳。 ましてや今日は正装までしている。 そんな美しい姿の彼を、他の令嬢たちが放っておく訳がない。 ディーには申し訳ないとは思うけど、警戒心を持つために自分が他からどういう風に見られるのかを理解させる必要があった。 そんな事を考えながらディーを見ていると、ディーはどうしたらいいのか分からないのか、すごく慌てている。 普段落ち着いてるディーとは違って、慌てるディーは新鮮だった。 ディーが周りをキョロキョロとしているから、私を探してるのかもしれない。 ………ディーが私を探してる。 これはちょっと……いやかなり嬉しいかもしれませんわ! そう思いながらディーを見ていると、別の方が騒がしくなった。

ともだちにシェアしよう!