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第46話 ∥
馬車の中、俺は項垂れていた。
やってしまった。
皇子にあんなことして、不敬罪は免れない。
俺はどうなっても良い。
でも俺も『グロウ』を名乗ってる以上、伯爵様たちにも何らかの罰あるかもしれない。
俺はそれが怖かった。
不安な気持ちが消えず、俺はため息をつく。
「大丈夫ですわ」
そう言ってシャロウネが俺の手を握ってきた。
「……でも」
「さっきの騒動で、ディーが悪くないのは明らかです。見ていた皆もそう思うでしょう」
それでも王族に手を出してしまった事には変わりない。
周りが何と言っても、国王が何と思うかだ。
そんな事を考えていると、伯爵様が戻ってきた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(シリウスside)
陛下と談話をしていると、侍従が来て陛下に耳打ちをしていった。
侍従の話を聞いた陛下がため息を洩らした。
「どうかされましたか?」
そう聞くと陛下が私をじっと見てくる。
「先程リオネスが会場に居た子供に突き飛ばされたらしい」
「リオネス殿下が!?」
「その子供は黒髪で珍しいアイスグリーンの瞳を持つ美しい少年だったそうだ」
私はその子供の特徴を聞いて、一人しか浮かばなかった。
私はすぐさま立ち上がり、陛下に頭を下げた。
「申し訳ありません。それは恐らく我が息子のディラントです」
そこまで言うと、陛下が手を上げて私を静止させた。
「いや、話では非はリオネスにあるそうだ」
「……それはどういう?」
「リオネスが出席者の一人にわざとぶつかってきたと難癖をつけ処刑を公言したらしい。そんなリオネスをその少年が『権力のある者が軽々しく死を口にするな』と諌めたそうだ」
陛下は『くくっ』と笑いながら言う。
「……ディラントがそんな事を」
「そなたの息子は9歳だったか?」
そう聞かれて、私は頷いた。
「その年でその様な事を言えるとは……そなたが自慢するのも頷ける」
「……自慢の息子ですから」
そう言うと、陛下は高らかに笑った。
「今回の事は不問に処す」
陛下のその言葉に、私は頭を下げた。
「しかし残念だ。侍従の話ではその少年もパートナーの少女も既に退席してしまったらしい。今日こそそなたが自慢する息子が見られると思ったんだかな」
そう言って陛下は残念そうな表情を浮かべた。
「落ち着いたら、ディラントと共にまた登城させて頂きたく思います」
「うむ、その時を楽しみにしている」
そう言う陛下に私は再度頭を下げてその場を後にした。
ディーの事だ、自分が仕出かした事の重大さは理解しているだろう。
かなり不安に思っている筈だ。
そう思って、私はディーとシャーネの待つ馬車に急いだ。
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