49 / 230
第48話 登城
シャロウネのデビュタントは、結局何も出来ずに終わった。
ダンスも国王様への挨拶も何も出来なかった。
それは全部俺のせいだ。
「すいませんでした」
俺は一緒にお茶をしているシャロウネに謝った。
「突然どうしたのですか?」
そう言ってシャロウネがきょとんとする。
「先日のパーティーの事です。シャーネのデビュタントだったのに、俺のせいで台無しにしてしまった」
「その事でしたら気にしてません」
『謝る必要は無いです』とシャロウネは言う。
でもそれでは俺の気が収まらない。
後で思い出した事だけど、シャロウネはあのパーティーでリオネスと出会って婚約する筈だった。
俺はそれを変えてしまった。
シャロウネには申し訳なくて仕方ない。
「…そうですわね。そんなに気に病むようであれば、今度私と街に一緒に行って下さい」
俺が下を向いていると、シャロウネがそう言う。
「……街?」
「はい。私とデートしてください」
そう言ってシャロウネはニッコリ笑う。
「そんな事で良いのなら喜んで」
「何やら楽しそうな話をしているね」
シャロウネと街に行く話をしていると、伯爵様がそう言って顔を出した。
「お父様!」
伯爵様の顔を見た瞬間、シャロウネが嬉しそうにする。
「父様、お疲れ様です」
俺も伯爵様に挨拶をした。
「今、ディーと街に行く話をしたんです」
シャロウネがさっき話してた事を伯爵様に報告する。
「そうか、それは楽しみだね」
伯爵様がそう言って笑うと、シャロウネも『はい』と答えて笑った。
「ところで、ディー」
「はい?」
「ディーには後日、私と一緒に王宮に行って貰うよ」
「……王宮?」
やっぱり、リオネスに手を出したことが問題になったのだろうか。
「そんな不安そうな顔をしなくてもいい」
考えてた事が表情に出てたのか、伯爵様がそう言う。
「陛下がディーに会いたいと仰ってる。先日のパーティーでは会えなかったからね」
どうやらこれは俺に拒否権は無いようだ。
そう思って、俺は伯爵様の言葉に素直に頷いた。
ともだちにシェアしよう!