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第50話 ∥
入ってきたのは金髪赤眼の男の人と銀髪翆眼の男の人だった。
二人を見た伯爵様が急かさず立ち上がって礼をする。
俺も伯爵様に習って二人に礼をした。
この人が国王様。
俺は金髪赤眼の人を見た。
国王様の事は有華がイノラバをやってる時に一度だけスチルを見て姿は知っていた。
確かシャロウネがリオネスに断罪される時に一度だけ出てくる。
「そう堅くならなくても良い。ここには私たちしか居ない」
そう言って金髪赤眼の人が笑う。
「てっきり公式の場での謁見だと思いましたよ」
伯爵様がそう返す。
国王様に対してさっきより気安い。
多分、これがいつもの伯爵様の接し方なんだろう。
そう思っていると、何か視線を感じた。
見ると国王様が俺を見ていた。
「噂通り、美しい少年だな」
「初にお目に掛かります。ディラント・グロウです」
そう言って俺はもう一度礼をする。
「……ほう、こちらも噂通りか」
そう言って国王様は笑う。
………噂っていうのは何なんだろう。
「私はこの国の国王で、アルフレッド・ディーク=エクレール」
『宜しくたのむ』と国王様は言う。
「後ろに居るのは宰相のラウス・オルゼークだ」
そう言って国王様は後ろに立ってる銀髪翆眼の人を紹介してくれる。
この人は宰相だったのか。
そう思って見ていると、その人と目が合う。
俺は慌てて頭を下げた。
挨拶を済ませると、俺たちは座って話をすることになった。
「まずは、私はディラントに謝らなければならない」
なんの話をするのかと思ったら、国王様が急にそう言い出す。
「え?」
「息子のリオネスの事だ。先日のパーティーでの事、申し訳なかった」
そう言って国王様が頭を下げる。
国王様と一緒に宰相様も頭を下げた。
公の場ではないにしろ、最高権力者が下級の、しかもこんな子供に頭を下げるなんて……
「…頭を上げてください」
そう言うと、国王様と宰相様が頭を上げる。
「申し訳ありませんが、俺は貴方からの謝罪は受け取れません」
「ディ、ディラント?」
伯爵様が驚いた表情をする。
無理もない。
国王に謝られて、それを受けないなんて有り得ないだろう。
でも……
「謝るのであれば俺ではなく、彼の貴族の方にです。俺はあくまで仲裁に入った立場なので」
「しかし、そなたもリオネスに処刑を宣告されたと聞く」
そう言われて、俺はパーティーでの事を思い出す。
「……そうですね。ですがリオネス殿下も本気ではなかったようなので」
あの時のリオネスは多分ふざけていただけ。
でもそのふざけ方が気に入らなかった。
「でも本気では無かったにしても、ふざけて『死』を口にすることは許せません。国王様に謝られても、リオネス殿下本人がそれを理解してなければ意味が無いんです」
「……ほう」
国王様がニヤリと笑う。
俺はそこでハッとした。
「あ、申し訳ありません。俺……」
「構わない。そなたの考えを聞かせてくれないか?」
国王様にそう言われて、戸惑った俺は伯爵様を見る。
伯爵様は俺の視線に気付くと小さく頷いた。
……これは好きにしていいということだろうか。
そう解釈した俺は、躊躇しながらも話を続けた。
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