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第55話 ∥

(シリウスside) 「……おや、ディーはどうしたんだい?」 食事の為に食堂まで来ると、居たのはシャーネだけだった。 「ディラント様はお疲れのようで、眠ってしまわれました」 そうリーナが答える。 ディーはかなりシャーネに引っ張り回されたらしい。 「起こして参りましょうか?」 「いや、そのまま寝かせてあげなさい」 そう言うと、リーナは頭を下げた。 ディーが寝てしまった事で、私は久しぶりにシャーネと二人で夕食を食べることになった。 「シャーネ、今日は楽しかったかい?」 「はい!とても楽しかったです!」 そう言ってシャーネはニッコリと笑う。 「ディーにドレスを選んで頂いたんです」 「ほう」 「今から着るのが楽しみですわ」 そう嬉しそうに話すシャーネを見て、私も自然と笑みが溢れる。 「それは楽しみだね。私もディーがどんなドレスを選んだのか楽しみだよ」 「とても素敵なので楽しみにしていてください」 食事を終えて、私は書斎まで戻ってきた。 「アランはどうした?」 側近に訪ねる。 「アランはまだ戻ってきていません」 「戻ってきてない? ……そうか」 私は懐中時計を開く。 ……アランにしては時間が掛かってるな。 何かあったのか? 「アランが戻り次第、報告を頼む」 「畏まりました」 そう言って側近は胸に手を当てて頭を下げた。

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