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第59話 アランルート
俺の部屋のベッドはアランが寝てるから、俺は別の部屋を用意された。
その際、俺の部屋にはシャロウネやリーナさんがよく来るから注意するようにと伯爵様に伝えた。
この事を伝える事によって、俺が事情を把握してることが伯爵様にバレてしまったけど、今はまぁ良いや。
それにしても、なんでアランはあんな怪我をしたんだろう。
恐らく伯爵様の指示で諜報員として何かを追ってたのは間違い無いんだけど……
そういえば、ゲーム内でもアランが大怪我をするってシナリオがあったな。
確か、怪我をしたアランを助けた事が主人公とアランの出会いで、そこからアランルートに入っていった気がする。
あれは確か、主人公がエクレール学園に入学する前に、主人公が家の近くで怪我をしたアランを助ける所からアランルートが始まる。
それから主人公は事ある毎にアランと接触するようになる。
親睦を深めて好感度が上がると、アランルートのイベントが発生する。
アランルートのイベントの内容は、アランが追ってる盗賊団がアランから逃れるために主人公を人質にする。
その主人公を助ける事によって、恋愛に発展する。
今回の流れがそれに似ている。
でも時期が早すぎる。
アランルートのイベントが発生するのは主人公が16で、アランが21の時。
まだ先の事だ。
それに主人公がまだ登場していない。
だから今回の事はそれとは違うのかもしれない。
そんな事を考えていると、俺は疲れからいつの間にか眠ってしまっていた。
・・・・・・・・・・
「……ント様……ディラント様」
次の日、俺は伯爵様の側近に起こされた。
「ディラント様、起きられますか?」
「…あ、はい」
若干寝惚けながら、何とか答える。
色々考えてて、いつの間にか寝ちゃったのか。
「本日は私がディラント様の身の回りのお世話をさせていただきます」
そう言って、伯爵様の側近の人が頭を下げる。
多分、伯爵様がリーナさんに言ってこの人と変わったんだ。
「あ、はい。よろしくお願いします」
そう言って起き上がろうとすると、身体中に激痛が走った。
・・・・・・・・・・
「……筋肉痛ですね」
医者がそう言う。
俺が起き上がれないことで、側近の人が医者を呼んだ。
「……そうですか」
まぁ、あれだけ動けばそうなるよね。
昨日の夜の事は、ディラントの体には明らかにオーバーワークだ。
あれが俗に言う『火事場の馬鹿力』というやつなんだろうな。
「ディー、大丈夫かい?」
医者が帰った後、伯爵様が様子を見に来てくれた。
「筋肉痛だそうです。休めば良くなります」
そう言うと、伯爵様はホッとした。
動けなくなる程の筋肉痛なんて久しぶりだな。
武術を始めた当初に何度かあった。
「今日は大人しく休んでいなさい」
そう言って伯爵様は俺の頭を撫でた。
「……あの、アランさんは大丈夫ですか?」
「アランは大丈夫だよ。まだ意識は戻っていないが、心配ないと医師が言っていた」
「……そうですか」
アランの事を聞いて、俺はホッと息を吐いた。
「……ディー、そのままで構わないから、話は出来るかい?」
そう言って伯爵様の表情が変わる。
俺はその表情を見て、昨日の話だと分かった。
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