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第62話 ∥
(シリウスside)
苦渋の選択だった。
ディーはまだ9歳の子供だ。
ディーには危険な事はさせたくない。
だけどディーを見る限り、引き下がるとは思えなかった。
「ただし条件がある」
「……条件?」
「必ず何か行動する前に私に報告すること。決して一人にはならないこと。アランが復帰したら、アランの指示に従うこと。危険な事はしないこと。これが守れなければ、アランの手伝いをさせるわけにはいかない」
そう言うと、ディーの表情が明らかに明るくなる。
「必ず守ります」
そう言って嬉しそうにするディーに、私はまたため息がでた。
「ところでディー、手伝うといっても何をするつもりだい? 」
「情報収集は出来るかと」
「情報収集? でもそれはアランがしているだろう」
「多分、違う視点から情報を集められると思うんです。っていっても、アランさんが今何を追っているのか分からないから何とも言えないんだすけど」
「そういえばそうだったね」
私は近くに居た側近を呼ぶと、ある資料を持ってくるように頼んだ。
側近が部屋を出ていってしばらく、資料を持って戻ってきた。
私はその資料を受け取ると、ディーに渡した。
「……これは?」
「アランがこれまでに集めた情報をまとめたものだよ」
そう言うと、ディーは急かさず資料に目を通した。
真剣な表情で資料を読む。
子供には難しいだろうに、ディーはその内容を理解しているようだった。
ディーに渡した資料には、ここ最近起きた窃盗事件や傷害事件が記載されている。
ここに書かれている事件は全てがこの近辺で起きていて、アランが調べた結果一つの窃盗団が関わっていることが分かった。
ただあまりにも情報が少なく、アランが調べても分かったのは窃盗団の名前とリーダーである男の名前だけだった。
でもアラン曰く、リーダーの名前は信憑性が無いとの事だった。
実際に分かっているのは窃盗団が関わっているという事だけだった。
しばらくするとディーは資料を読み終わったようで、何かを考え出した。
もしかしたら、ディーはこの問題を解決してしまうかもしれない。
私はそんな期待さえしてしまった。
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