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第64話 ∥
(シリウスside)
『噂は有力な情報原になる』
そう言ってディーは笑う。
「……それはどういう事だい?」
噂が情報原とはどういう意味だろうか。
「噂は一つ二つだと信憑性はないですが、語られる数が多いと信憑性が増します。中でも同じ内容だと可能性はかなり高いですね」
ディーが言うには、これだけ頻繁に事件が起きてたら街中でも噂になっていて当然らしい。
街の人たちもその話をする筈だから一つ二つは確実な情報がある筈だとディーは言う。
運が良ければ被害者の話や目撃情報なんなも入ってきたりするらしい。
ディーの言うことは理には敵っている。
噂を探るなんて思い付きもしなかった。
ディーはどうしてこんな事を思い付くのだろう。
「ディー、何故噂を探ろうと思ったんだい?」
そう聞くと、ディーはきょとんとする。
「それが一番手っ取り早いからですが?」
そう言ってディーは首を傾げる。
本当に、この子は末恐ろしい。
そう思って、私はため息をついた。
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(ディラントside)
噂を探る、もちろんこれはただの口実だった。
噂を探ればクラーク団のアジトに関する情報が自然と集まると思った。
ある程度情報が集まったら上手くクラーク団のアジトに誘導すれば良い、そう考えた。
もちろん情報が集まらなかった場合の事も考えてある。
でもこれは伯爵様に話すと絶対に止められるからバレないようにしなきゃ。
「ディー、噂を探るということは街に出るのかい?」
そう伯爵様が言う。
「そのつもりです。事件が起きた場所を整理して、その周辺の店に聴き込もうかと考えています」
そう言うと、伯爵様が『そうか』と言って考え出す。
「なら、街に出るときは必ず事前に報告と、街に行くときはアルマを同行させる」
伯爵様がそう言うと、横に居たアルマさんが胸に手を当てて頭を下げる。
アルマさんは伯爵様の幼馴染みで、伯爵様の側近として傍に居る。
気心が知れていて、伯爵様の最も信頼を置いてる人だ。
「よろしくお願いします、アルマさん」
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