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第65話 ∥
俺が手伝いを言い出してから3日が経った。
俺の筋肉痛も治って、普通に動けるようになっていた。
俺が部屋で資料を整理していると、アルマさんに伯爵様が呼んでいると言われた。
俺が伯爵様の所に行くと、そこでアランの意識が戻ったことを聞いた。
まだ絶対安静ではあるけど、少しだけなら話が出来るということで、俺は早速アランの元に向かった。
アランが寝てる部屋っていっても元々俺の部屋なんだけど。
アランは動かせないから、しばらく回復するまでは俺の部屋を使い続ける。
それまでは俺も仮の部屋で過ごしている。
その時ふと考えた。
……あれ、でも俺の部屋にはシャロウネやリーナさんがよく来てたのに、部屋を移ってからは二人とも来てない。
それに俺の部屋にアランが居ることも知られてないみたいだ。
伯爵様が止めてくれてるものだと思っていたけど、アランの事を知られず止めることなんて出来るのか?
そんな事を考えながら部屋に向かうと、アランが寝てる部屋からリーナさんが出てきた。
「リーナさん?」
「あ、ディラント様。お体はもう宜しいのですか?」
「……俺は大丈夫ですけど」
なんでリーナさんがアランの所から?
「…あの、リーナさんはどうしてこの部屋から?」
「アランが怪我をしたとの事で、看病を仰せ使ったので」
それを聞いて、俺はため息をついた。
「……リーナさんはアランさんの事を知っていたんですね」
少し考えれば分かったことだ。
シャロウネにアランの事を知られないようにするには、アランの事を知っている人がシャロウネの傍に居なければ無理だ。
「申し訳ありません。まさかディラント様がアランの事を知っているとは思わなかったので」
そう言ってリーナさんが困ったように笑う。
「でもディラント様はあまり驚いてはいないようですね」
「納得したので」
「納得?」
「シャーネにアランさんの事を知られないようにするには、アランさんの事を知っている人が傍に居なければ無理です。そう考えたときに真っ先に思い浮かんだのがリーナさんだったので」
「やはりディラント様は凄いですね」
そう言ってリーナさんが笑う。
俺はリーナさんの言う『凄い』の意味が分からなくて首を傾げた。
「あ、アランさんとは話出来ますか?」
「少しなら大丈夫だと思います」
そう言ってリーナさんは扉の前から退いた。
「ありがとうございます」
「あ、ディラント様」
扉を開けようとすると、リーナさんに呼び止められた。
「ディラント様がアランの手伝いをすると聞きました」
…あ……
「…反対、ですか?」
そう聞くと、リーナさんは首を振る。
「詳細は旦那様から聞いています。ディラント様が決めたことで旦那様がお許しになったのなら私に言えることはありません。ですが、どうかお気をつけ下さい」
そう言ってリーナさんが俺をじっと見てくる。
これは、俺を心配してくれてるのかな。
「大丈夫です。危なくなったらちゃんと逃げるので」
そう言うと『絶対ですよ』と念を押された。
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