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第67話 囮
アランが目覚めて3日が経った。
アランもかなり回復してきて、今では自力で食事も出来ている。
アランはもう心配ないということで、俺は前からの計画を実行に移した。
「アルマさん、今日はよろしくお願いします」
そう言って頭を下げると、アルマさんに止められた。
貴族が従者に頭を下げるものではないと怒られた。
でもアルマさんは伯爵様の従者であって俺の従者じゃない。
それに俺の我が儘に付き合ってもらうんだ、お礼はちゃんとしたい。
アルマさんにそう言うと、アルマさんは苦笑していた。
貴族には威厳が大事で、簡単に下の者に頭を下げてはいけないらしい
これも貴族の暗黙のルール。
本当、面倒くさい。
「ところでディラント様、本当にその格好で行かれるのですか?」
「……変ですか?」
そう言って俺は自分に視線を向けた。
今回の街訪問は完全なお忍びってこともあって、アルマさんにはいつもの服装ではなく、ちょっと裕福よりの平民の格好。
「変、ではないですが、その格好では……」
今俺が来ているのはいつもよりランクは落としているものの、明らかに貴族の子供だと分かる格好をしていた。
「大丈夫です。これで良いんですよ」
そう言って笑い掛ける俺にアルマさんは不思議そうな顔をした。
そうこれで良い。これも狙いの一つ。
噂だけで情報が集まれば良いけど、これは集まらなかった場合の保険。
いや、むしろこっちの方が確実だったりする。
でもこの方法は確実に皆に反対されるからこっそりとすることにした。
まぁ、後で怒られることは必須なんだけど。
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