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第69話 ∥

………あれ?朝? 目を開けると俺はベッドに寝ていて、窓の外を見ると朝陽が射し込んでいた。 ……俺、いつベッドで寝たんだ? 俺が頭にハテナマークを浮かべていると、部屋の扉が開いた。 「ディラント様、おはようございます」 そう言ってリーナさんが部屋に入ってきた。 「……リーナさん」 俺は訳が分からず、思わずリーナさんを見つめた。 そんな俺を見て、リーナさんがクスクスと笑った。 「昨日は余程お疲れだったのでしょう。床で寝てしまわれていたのですよ」 ………床で? なんでと思って、俺は昨日の事を思い出した。 昨日はアルマさんと街に聴き込みに行って、かなりの時間歩き回った。 邸についた時には、俺は疲れてヘロヘロになってた。 見かねたアルマさんが伯爵様への報告は明日にして、部屋で休むように言われた。 部屋に戻った俺は床に倒れ込んで、そのまま寝てしまったみたいだ。 部屋から出てこない俺を心配して、リーナさんが様子を見に来たら床で寝てたらしい。 「………ご迷惑おかけしました」 床で寝落ちなんて恥ずかしい! そう思って顔を押さえると、リーナさんに笑われた。 「それにしても、アルマ様にももう少しディラント様を気に掛けて頂きたいものです。こんなお疲れになるまで歩かせるなんて」 リーナさんがそう怒り出す。 「いえ、俺が気をつけていれば良かったんです」 歩きなら大丈夫だと思ってたから。 アルマさんには悪いことをしてしまった。 「いえ!主の体調管理も従者の立派な仕事です!主が疲れていたら休ませるのが当然です!」 アルマさんの主は伯爵様なんだけど…… そう思ったけど、俺は言うのを止めた。 「今後は俺も気を付けま……」 『気を付けます』そう言おうとした時、お腹が『ぐぅうう』と空腹を訴えた。 その音を聞いて、リーナさんがクスクスと笑う。 俺は顔が熱くなった。 「お食事にしましょうか」 「あ、でも…まだ父様に昨日の報告してないです」 まずは伯爵様に昨日の報告をしなきゃ。 「先にお食事です。ディラント様は昨日のお夕食も召し上がってないのですよ」 「……えと…」 「ディラント様は只でさえ食が細いのですから、食べるときはしっかり食べなければいけません!」 リーナさんにそう言われて、俺は頷くしか出来なかった。

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