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第73話 クラーク団

目を覚ますと、窓もない薄暗い小部屋に居た。 ……ここは。 体を起こして周りを見回してみるけど、見えるのは薄汚れた壁だけ。 おまけに手足を縛られて動きが制限されてしまっている。 どうやら上手く連れ去られたみたいだな。 俺のもう一つの計画は、俺自身がクラーク団に誘拐されること。 いくら噂を探っても、決定的な情報は入らないと思ったから。 アランに伝わるようにアルマさんに伝言を残したけど、最悪俺一人で何とかするつもりだった。 でもアルマさんに怪我させちゃった。 アルマさん、大丈夫かな。 そんな事を考えていると、突然ドアが開いて男が一人入ってきた。 「なんだ、起きてんじゃん」 そう言って近付いてくる男に、俺は体を強張らせた。 俺は男に『来い』と担がれる。 何処に連れていかれるんだと思いつつ、俺はこの建物の構造が分かればと思って建物の中を観察していた。 古いレンガ調の建物、廊下はほぼ一直線だ。 窓は廊下でも小さい小窓があるだけで、灯りはあるものの全体的に薄暗い。 廊下にはいくつも扉が並んでいて、イメージ的には古びたアパートみたいだ。 建物自体の造りは簡単、でも窓が無いからそう簡単には逃げられないか。 そう思いながら、俺は辺りを見回していた。 しばらく廊下を歩くと、突き当たりに一際大きい扉が見えてきた。 男は俺を抱えたまま、その扉を開けた。 扉を開けると広い空間が広がっていた。 そこはさっきまでの薄暗い廊下とは違って、大きな窓から光が射し込んでいる。 ……日差しが赤い。 もう夕方なんだ…ってことは、あれから結構な時間が経ってるのか。 ……アルマさん、無事に邸まで帰れたかな。 そんな事を考えていると、突然床目掛けて放り投げられた。 手足が縛られてて受け身が取れなかった俺は、勢い良く床に体を打ち付けた。 「っ!?」 痛みで体を丸める。 「リーダー、連れてきました」 俺を連れてきた男がそう言う。 ………リーダー? 俺はまだ痛む体を捩らせて顔を上げた。 そこには一人の男がソファに座っていた。 その男を見た瞬間、頭に何か映像が浮かんだ。 でもそれはフィルターが掛かったようで良く分からない。 ………なんだ、今の。

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