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第83話 誓い

(アランside) 治安部隊を呼ぶには色々と手続きが必要になる。 旦那様はすぐには動けない。 その間にもディラント様が危険な目に合っているのかと思うと気が気じゃなかった。 恐らく旦那様も同じで、だからこそ俺が先行することを許してくれた。 俺は準備を終えると早々に邸を飛び出した。 目的地は街の北側の外れにある空き家。 本来なら馬車を使って迂回して行く場所。 でも裏路地を使えばかなりの時間短縮になる。 裏路地はかなり入り組んでいて、一度迷い込んだらなかなか脱け出せない。 でも裏の人間は裏路地を逃げ道として利用している為、しっかりと把握している。 俺も時折裏路地を使っていた為、迷うことは無かった。 俺は裏路地を使って最短距離で空き家につくと、物陰に隠れて様子を伺った。 ………邸の中に人の気配はないか。 俺は警戒しながら邸の中に入った。 気配を消して、武器の短剣を構えながら邸の中を慎重に進んだ。 ……誰も居ない? 邸に潜入してしばらく進んでみるけど、人一人見当たらない。 ……ここじゃないのか? もしかして、俺がディラント様の暗号を読み違えた? あまりにも人の気配が無さすぎて、俺が間違えてのかと不安になる。 不安になりながらも進んで大きな扉の前に差し掛かると、中からカタンと微かに物音が聞こえた。 ……何だ?人の気配がする、誰かいるのか? 俺は息を潜めて扉の奥の様子を伺った。 気配はひとつだけか…… 一人なら何とかなると思って、俺はゆっくりと扉を開けた。

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