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第91話 ラジール

クラーク団の事が一段落して、俺も前の日常に戻っていた。 ただ前回、俺が色々やらかしたせいで何処行くにしても必ず護衛が一人は着くようになった。 俺の護衛には伯爵家お抱えの騎士が着いてくれる。 今まで接点が無かったとはいえ、お抱えの騎士団があったことを始めて知った。 毎日交代で俺の護衛をしてくれる。 でも俺自身、何かない限りはあまり外に出ないから護衛の必要が無いんじゃないかと思った。 伯爵家の敷地内で何か起きるとも思わないし、外に出るのも庭に少し出るくらいだ。 「すいません、わざわざ付き合って貰ってしまって」 俺はしばらく書庫室に籠った後、気分転換に庭に出た。 書庫室でも護衛の騎士が着いていて、今も着いてきてくれている。 「構いませんよ」 そう言って騎士の人が笑う。 正直俺があまり動かないから、着いてて貰うのが少し申し訳ない。 騎士の人は藍色に金の刺繍が入った団服を着て、右肩にだけマントを羽織り、左の腰には帯剣している。 そういうのに疎い俺でも、その姿が洗練されたものだと分かる。 騎士の鍛え上げられた屈強な体躯に、俺は思わず見惚れた。 そういえば、近くに騎士団の訓練所があるって言ってたな。 騎士の訓練、一回見てみたいな。 頼んだら見せてくれるかな。 そんな事を考えていると、奥の茂みからガサッと音がした。

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