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第95話 ∥
「はぁ~!可愛いですわ!」
拾った仔猫をシャロウネに見せると、シャロウネは歓喜の声を上げた。
俺はラジールの目が覚めるまでシャロウネと一緒に拾った仔猫を愛でていた。
仔猫はずっと抱いてたせいか、俺に懐いたみたいで離れようとしなかった。
従者が離そうとすると、従者に向けて威嚇した。
一向に俺から離れようとしない仔猫を見た伯爵様が飼うことを許してくれた。
"前"から猫を飼いたいと思ってたけど、到底それは叶わなくて、ここにきて猫を飼えるのは俺も嬉しかった。
「まずは洗ってあげなければいけませんね」
リーナさんが仔猫に浮かれる俺たちを見てクスクスと笑いながら言う。
仔猫は俺とシャロウネで洗ってあげることになった。
「まぁ!?真っ白だったのですね!?」
仔猫を洗い終わると、汚れが落ちて本来の毛色が現れた。
……白だと分からないくらい汚れてたのか。
本来の毛色を取り戻した仔猫は、毛は真っ白で瞳は赤いくてとても綺麗な猫だった。
「あら?この子、フォレスキャットの幼体じゃないですか?」
リーナさんが仔猫を見てそう呟く。
「フォレスキャット?」
聞いたことの無い名前に、俺は首を傾げる。
「魔物の一種です。比較的大人しい性格の魔物ですが、成体になると人の腰ほどの大きさまで成長します」
そう言ってリーナさんが『これくらい』と腰の位置に手をかざす。
大型の猫科くらいか……
「でも『白』は珍しいですね」
そうリーナさんが言う。
「白は珍しいんですか?」
「そうですね、フォレスキャットの毛色は本来黒です」
リーナさんが言うには、フォレスキャットは名前の通り森に住んでいて、漆黒の体毛に緑の瞳をしているらしい。
それはフォレスキャットが夜行性で闇夜に隠れる為らしい。
だから毛色が白というのは、とても珍しいらしい。
「……アルビノかもしれませんね」
俺がそう言うと、シャロウネとリーナさんがきょとんとする。
「ディー、アルビノとは何ですか?」
そうシャロウネが聞いてくる。
「アルビノは体内の色素が欠落してしまう疾患です。先天性の疾患で生まれつきの白い体毛と赤い瞳が特徴です。健康上は問題無いですけど、野生で生きていくのは厳しいですね」
野生では『白』は目立ってしまう。
仲間が守ってくれれば良いけど、それは難しいだろう。
「もしかしたら、うちに迷い込んだのは運命かもしれませんね」
そう言って仔猫を撫でながらシャロウネが笑う。
「そうかもしれませんね」
そう言って俺もシャロウネに笑い返した。
「さぁ、この子も家族になるんです。お二人とも、この子の名前を考えてあげなくては」
リーナさんがそう言いながら笑う。
「……名前」
俺とシャロウネは顔を見合わせた。
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