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第104話 ∥

(アランside) ラジールに連れられて来たのは、邸からそう離れていない空き家。 「………ここにディラント様が?」 そう聞くとラジールが頷いた。 「何でここにディラント様が居るって?」 「伯爵に聞いたって言っただろ」 ………って事は旦那様もディラント様がここに居るって知ってたって事か。 「………俺は旦那様たちに騙されたのか」 「そもそも邸内で護衛も着いてる状態で拐える訳がない」 ラジールに言われて気付く。 「お前、ディラントの事になるとポンコツだな。まぁ、気持ちは分からなくは無いけど、落ち着いて考えればお前でも気付けたと思うぞ?」 そう言うラジールに、返す言葉が無かった。 俺たちは空き家の中に入って奥の部屋を目指す。 「……何でディラント様たちはこんな事」 「……俺たちの為………ってよりはお前の為じゃないか?」 「それってどういう?」 「それは本人に聞けば良いだろう」 そう言ってラジールが奥の部屋の扉を開けた。 扉を開けると、そこは一際大きい部屋になっていた。 中を覗くと、窓際にテーブルが置かれていて、そこでディラント様がお茶を飲んでいた。 俺はディラント様の姿を見ると、ディラント様に駆け寄った。

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