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第108話 ∥

「取り敢えず、ラジールにはもうしばらくは侍従見習いとして働いて貰う。そこで侍従としてのマナーを学ぶ事。指南役としてアランをつける」 アランとラジールの良い争いが終わって落ち着いたところで伯爵様が話を切り出す。 「え!?」 伯爵様の言葉にアランが反応する。 「私では役不足です。執事長やメイド長にお任せするのが良いかと……」 「私はアランが適任だと思うよ。アランはマナーも仕事内容も申し分ない。それにラジールの事を理解出来るのはアランだけだと思うよ」 伯爵様がそう言うと、アランは黙ってしまった。 「アラン、私は後にアランとラジールをディラント付きにと考えている」 「…私がですか?」 「そう、だから今からチームワークを養ってほしい」 そう言う伯爵様にアランは悩んでいるみたいだった。 伯爵様が俺にアランとラジールをつけるって言い出したのは俺も驚いたけど、ラジールの教育にはアランが適任だと俺も思う。 「ラジールはどうだい?」 アランからの返事がないことで、伯爵様が今度はラジールに聞く。 「俺はディラントの傍に居られれば何でもいい」 ラジールはそう即答する。 本当、ラジールはぶれないな。 そう思って、思わず苦笑が漏れた。 ラジールが答えた事で、伯爵様の視線がもう一度アランに向く。 アランはその視線に居心地の悪そうな表情を見せた後、小さくため息をついた。 「……分かりました。ラジールの教育、お引き受けします」 そう言ってアランは胸に手を当てて礼をした。

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