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第116話 ∥

(アランside) ラジールが何を言いたかったのか全く分からない。 『あんた、ディラントの事好きだろ』 ディラント様をお慕いしているのは当たり前だ。 ディラント様は大切な主人だ。 何故今更そんな事を言うのか…… でも……… 『ディラントは俺が貰うから』 あの言葉に胸がざわつく。 不安?……違う、もっと心の奥を掻き乱すような感覚。 本当に、何なんだこれは…… ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (ディラントside) 今日からアランとラジールと一緒に剣術の稽古だ。 俺たちは剣術を教えてもらう為に訓練場のある騎士団寮に向かっていた。 「ディラント様、剣は使ったことありますか?」 そうラジールが聞いてくる。 「いえ、剣を持ったことすら無いです」 剣術は学生の時に授業で剣道をやったのが最後か。 いろんな武術に携わってきたけど、剣術だけは何故か引かれなくてやってなかった。 俺は剣術の稽古と聞いて、少しワクワクしていた。 ……それはそうと 「アラン、どうかしましたか?」 俺は一歩後ろを歩いてるアランに声を掛けた。 今日のアランは朝からどことなく沈んでいた。 「…何でもありませんよ」 そう言ってアランは微笑む。 「……そうですか」 アランが無理して笑っているのはバレバレだ。 何かあったのなら相談して欲しいけど、アランが言う気が無いのを無理に聞き出す訳にはいかない。 そう思って、俺はこれ以上聞くのを止めた。 三人でしばらく歩くと、石作りの建物が見えてくる。 騎士団寮兼訓練場だ。 建物に近付くと、建物の前に団服を着た人が二人立っていた。 「フラルさん、レオンさん」 俺は建物の前に立っていた二人に駆け寄った。 「ディラント様、本日は宜しくお願いいたします」 そう言ってレオンさんが胸に手を当てて礼をする。 「こちらこそ、ご指導よろしくお願いします」 そう言って俺も頭を下げた。

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