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第120話 ∥
フラルさんの指示でもう一度素振りから的打ちをした。
フラルさんが俺を見てウンウンと頷いていた。
………原因、分かったのかな?
そう思って、俺はフラルさんをじっと見た。
「ディラント様の剣が的に当たらない原因は恐らく、間合いの問題かと」
しばらくウンウンと考えたいたフラルさんが最後にうんと力強く頷いた後そう言った。
「……間合い?」
「はい、間合いです」
そう言ってフラルさんが頷く。
「あぁ!なるほど、そういう事なんですね!」
フラルさんの言葉にレオンさんがポンと手を叩く。
「それなら的に当たらない事に納得です」
そう言ってレオンさんもウンウンと頷く。
……え、これ俺だけ分かってないの?
「…あの、間合いってどういう……?」
そう聞くと、フラルさんもレオンさんも驚いた顔をしていた。
俺は変な事を聞いたのかと思って、一人で焦っていた。
「ディラント様、間合いの意味は分かりますよね?」
そうフラルさんに聞かれて俺は頷く。
間合いは武術をやるに当たって、とても大事な事だ。
間合いを見誤ると大変な事になる。
「ディラント様は間合いが違うんですよ!」
フラルさんがグッと拳を握って力説するけど、言ってることがさっきと一緒で全く答えになってない。
戸惑ってる俺を見てレオンさんがため息をつく。
「ディラント様は剣を構えた時に間合いの外に立ってしまっているんです。それが原因で的に剣が当てられないんだと思います」
フラルさんを押し退けたレオンさんがそう説明してくれた。
漸く理解した俺はレオンさんに言われた事を確認するためにもう一度的の前に立った。
今度は意識して前に出てみる。
その状態で剣を振り下ろした。
その瞬間、ガンッと手に衝撃が走る。
「……当たった…」
俺は嬉しくなって二人を見た。
「当たりました!当たりましたよ!」
「お見事です、ディラント様」
そう言ってレオンさんが笑う。
「良かったですね」
そう言ってフラルさんもニカッと笑った。
その後何度か的に打ち込んでみたけど、本当に間合いを意識しないと当たらなかった。
試しにレオンさんと模擬戦もしてみたけど、こっちは壊滅的だった。
レオンさんの剣は避けられるけど、俺の剣はレオンさんに全く当たらなかった。
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