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第121話 ∥

色々試してみた結果、やっぱり間合いの問題だった。 俺は武術をやるに当たって、どうやら無意識に間合いの外に立ってしまう癖がついていたらしい。 的に向かっても、本当に意識しないと的に当てられないし、対人戦に関しては同時に瞬時の判断が求められるため間合いを意識することが出来なかった。 意識すると判断が遅れて相手の攻撃を受けてしまうし、意識しないと俺の攻撃が当たらない。 原因は分かったものの、打開策が思い付かなかった。 「ディラント様、本日はここまでにしましょう」 しばらく剣を振っていると、疲れからか段々剣が上がらなくなってきてきた。 それに気付いたレオンさんがそう言った。 「……ありがとうございました」 そう言って俺も軽く頭を下げた。 今日の訓練の内容を思い出してため息が漏れた。 全く出来なかった。 こんな筈じゃなかったんだけどな。 そう思ったら、またため息が出た。 「ディラント様、焦りは禁物ですよ。まだ始めたばかりです、ゆっくり改善していきましょう」 レオンさんにそう言われて、俺は頷いた。 木剣を片付け終えて息を吐くと、離れた場所からカンカンと音が聞こえてきた。 見ると、アランとラジールが手合わせしていた。 アランとラジールはダガーを模した木剣を使っていた。 アランが素早い動きでラジールに打ち込む。 それをラジールが受け、更に攻撃する。 「………すごい」 無意識に呟く。 二人が強いのは知っていた。 でも今まで二人が戦ってるところなんて見る機会がなかった。 二人がここまでの実力なんて知らなかった。 ………でも、これは。 「不味いですね」 隣に立ってたレオンさんが二人を見て呟く。 俺ももう一度二人に視線を向けた。 二人から鬼気迫るものを感じる。 俺はその瞬間、止めなきゃと思って二人の元に走った。

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