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第123話 ∥
(アランside)
ラジールと剣の打ち合いをする。
ラジールの攻撃は一撃一撃が重い。
防ぐのが精一杯だ。
俺は元々ナイフを得意としていた。
ダガーも扱ったことはあるけど、俺には大きすぎた。
体格に恵まれなかった俺は、攻撃力よりも機動力を重視していた。
今は前よりは振れてはいるけど、やっぱり体に馴染まない。
ラジールは俺よりも身長も筋力もある。
おまけにリーチも長い。
俺はラジールの攻撃をなんとかいなしていた。
「あんた、いつまで誤魔化すつもりだ?」
ラジールが攻撃を続けながらそう聞いてくる。
「……何の事だ?」
「あんた、もう気付いてんだろ?」
そう言ってラジールがニヤリと笑った。
ラジールの態度にイライラが募る。
「お前は俺にどうして欲しい?どう答えれば満足する?」
イラつく気持ちを押さえつつ聞いてみる。
「別に。あんたが何を考えてるか知りたいだけだよ」
そう言ってラジールが思い切り振りかぶってきた。
俺はそれをなんとか受ける。
刃を交えたまま押しきろうとするラジールを、俺はダガーを両手で支えて耐えた。
「俺はディラントの事が好きだ」
「……何を…」
「もちろん主としてじゃない」
そう言ってラジールがスッと目を細める。
「俺はディラントを生涯の相手だと思っている」
「っ!?」
動揺からか、腕の力が抜けてラジールに押し込まれる。
その拍子に体勢が崩れて防御が出来ない。
俺は打ち込まれると思って咄嗟に目を閉じた。
その瞬間、突如俺たちの間に突風が吹き荒れた。
俺に向かってかいたラジールの刃がその風に弾かれる。
俺とラジールの間に誰かが割り込んできた。
突風が止んで目を開けると、艶やかな黒が見えた。
「そこまで!」
そう言ってディラント様がラジールの手を掴んでいた。
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